グランドスタッフの「昔」と「今」から考える航空業界の変化

長蛇の列が当たり前だったチェックイン光景
空港では、時代とともに仕事内容が大きく変化しています。例えば搭乗前のチェックイン手続きは、今ならカウンター前に設置された機械や自分のスマートフォンを使って、乗客が自分で済ませます。しかし、かつてのチェックイン手続きは今と大きく異なりました。チェックインカウンターの中にグランドスタッフが座り、乗客一人一人の紙のチケットを確認し、チェックインから荷物の預かりまで一連の業務を行っていたのです。カウンター前には長蛇の列ができて、グランドスタッフに求められたのは、何より一連の作業を素早くこなせる手際のよさでした。
自動化で仕事は「なくなった」?
チェックイン業務以外にも、空港や航空会社の業務は自動化が進んでいます。しかし、自動化=仕事がなくなるということではありません。確かにチェックイン手続きは自動化されましたが、実際に空港に行ってみると、グランドスタッフがいなくなったわけではないことに気づくはずです。現在、その仕事は、カウンターの中ではなく外に立ち、乗客に寄り添い、サポートやトラブル解決を行うことに変化しています。かつて手際の良さが求められたスタッフには、細やかな気遣いやホスピタリティが求められるようになりました。つまり、仕事は「なくなった」のではなく「内容や求められる資質が変化した」のです。
時代に合わせて変化する役割
グランドスタッフ以外にも、航空会社のスタッフを取り巻く状況は大きく変化しつつあります。例えば、手荷物などの積み下ろしや航空機の誘導を行うグランドハンドリングの仕事には、最近女性の進出が目立つようになりました。航空業界全体を見ても、海外への渡航よりもインバウンドの増加に合わせた経営戦略を取るようになっています。時代の流れに合わせた、航空会社や現場スタッフの役割の変化をとらえて考えることが、航空業界全体の今とこれからについて理解するためには必要です。
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先生情報 / 大学情報

秀明大学観光ビジネス学部 教授(学部長)田中 順二 先生
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