なぜ日本では世界を驚かせるイノベーションが生まれないのか?
イノベーションを起こせない組織の問題とは
現在の日本の大企業は、優秀な人材も多く、今までの蓄積もあるにもかかわらず、なぜ世界を驚かせるようなイノベーションが起こせないのでしょうか? 理由の一つとして考えられるのが、組織内部に存在する誤解の問題です。
それは、経営陣の「社員はみんな同じ考えのはずだ」という思い込みです。これが原因で、現場の問題を解決しようとして経営陣が打ち出す策が、実は現場が求めているものとは全く違うものになってしまっているのです。こうした状況が解消されないと、互いの不信が募り悪循環に陥ります。この問題を突破するために重要なことは、「みんな違うことを考えている」という事実を認めて現実と向き合い、その上で共通の目標を作ることです。
新しい組織のリーダー像
もう一つ重要なのがリーダーのあり方です。昔のリーダーは強さが求められていました。そのリーダーは常に正解を知っていて、大きな決断をします。リーダーの意思は上から下へと伝わり、部下はリーダーについていくという組織でした。こうした組織の構造を「階層構造」と言います。しかし、変化が急激な現代社会では、こうした組織は効率的ではありません。
誰も正解を知らないという前提に立ち、ビジネスもフットワークを軽く、間違っていたらすぐに修正できるようなやり方や組織であるように変化しなくてはなりません。そうした組織のリーダーには、メンバーと一緒に考え、共に学び、フィードバックを促進する役割が求められます。こういった階層がないフラットな組織のあり方を「ホラクラシー」と言います。
得意なことを伸ばしていく
その現場は、個々の違いを認め、それぞれの得意なことを伸ばしていける場所になると考えられます。上述した問題解決のヒントは、ビジネスだけでなく、教育現場に取り入れることも可能です。世界でイノベーションを起こしている人は、人と違うことをやるからこそ、それが可能だったわけで、こうした教育は経営戦略の考え方からも合理的なのです。
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先生情報 / 大学情報
埼玉大学 経済学部 経済学科 准教授 宇田川 元一 先生
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