自分らしく生きるためのキャリア心理学

就活に有利な資格って、本当にあるの?
「就職活動では資格があると有利」とよく言われます。たしかに薬剤師や教師のように資格がなければ就けない仕事もありますし、TOEICや簿記といった資格は仕事に役立つ特定の知識やスキルを備えていることを客観的に証明する手段として役立ちます。しかし、東証プライム上位500社の募集要項を調べてみると、採用条件として最も頻繁に求められていたのは、「普通自動車運転免許」でした。TOEICなどの資格は「入社後の取得でも十分」と考えられており、選考時は資格を持っていることではなく「資格取得に向けた主体性」が評価されていたのです。学生が「まず資格取得」と思い込んで、資格がないために企業への応募を諦めてしまうということがあるとすれば、大きな機会損失です。
キャリア心理学が教えてくれる「自分を知る力」
こうした人生設計に心理学の視点から光を当てて探求するのが「キャリア心理学」です。就職活動でよく耳にする「自己分析」のためには、自分の性格や考え方の傾向を理解し整理することが必要ですが、心理学にはそのためのさまざまな手法があります。心理学の知見によって「自分を知る力」を身につければ、迷いや不安が軽減して、自分のキャリアをよりよく描けるようになることが期待されます。
「ゼロからプラスへ」~よりよい人生を描くために
心理学というと、カウンセリングのように心の不調をケアする研究を思い浮かべるかもしれません。たしかに従来は、悩みを抱える人への支援など「心のマイナス状態をゼロに近づける」というアプローチが中心でした。それに対して、不調のない人がよりよい人生を歩むための、いわば「ゼロからプラス」に向けた心理学は、まだまだ歴史的にも浅く発展途上であり、研究が進められているところです。キャリア心理学もその一つで、どんな働き方が自分らしいか、その実現のためにどんな進路が有効なのかを具体的に考えていく手助けをします。キャリア心理学は、人生をよりよくする可能性を秘めた学問であると言えます。
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大阪大谷大学人間社会学部 心理・福祉学科 教授安田 傑 先生
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