スポーツを「楽しむ」ことが心身にどのような効能を与えるのか

スポーツを「楽しむ」ことが心身にどのような効能を与えるのか

「楽しむこと」

楽しむことは、「夢中になっている」や「没頭している」状態であり、「今・ここに完全に集中している状態」を指します。これは、アスリートが「ゾーンに入った」と表現する状態であり、素晴らしいパフォーマンスにつながります。また、世界的に注目されている「マインドフルネス」に類似した状態(注意の様式)であるとも言えます。
心理学において、楽しむことは「フロー」と呼ばれ、研究が進められており、近年では仕事に熱意を持って取り組んでいる心理状態である「ワーク・エンゲージメント」との関連も指摘されています。
マインドフルネス、フロー、エンゲージメントは、メンタルヘルスやウェルビーイング、さらに卓越したパフォーマンスに影響を与えることがわかってきています。

「楽しむこと」のコツ

フローの提唱者チクセントミハイは、挑戦(課題の難易度)とスキル(課題をやり遂げる能力)とのバランスが取れているときにフローが生じると述べています。スキルに対して高すぎる挑戦(難しすぎる課題)は強い不安や緊張をもたらし、やがてはバーンアウト(燃え尽き症候群)に陥る危険性があります。このような過度の緊張を和らげるリラクセーション技法(自律訓練法)を習得することでスポーツにおけるフロー(楽しむこと)が向上することも明らかとなっています。

スポーツを「楽しむこと」を人生につなげる

かつては、アスリートが試合を「楽しんできます!」などと発言するとバッシングを受けることもありました。しかし現在では、楽しむことこそが実力を発揮するコツであり、卓越したパフォーマンスや成績をもたらすことを、誰もが知っています。楽しむことは、スポーツや仕事のパフォーマンスとやりがい、メンタルヘルスやウェルビーイング、さらにQOL(生活の質)の向上につながります。
スポーツを楽しむことは、スポーツ以外の日常生活やそのあとの人生を楽しむこと、さらには誰もがやりがいをもってイキイキと活躍する社会の実現に不可欠なのです。

※夢ナビ講義は各講師の見解にもとづく講義内容としてご理解ください。

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先生情報 / 大学情報

東海大学 体育学部 生涯スポーツ学科 准教授 谷木 龍男 先生

東海大学 体育学部 生涯スポーツ学科 准教授 谷木 龍男 先生

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スポーツ心理学、スポーツ健康科学

先生が目指すSDGs

メッセージ

スポーツを楽しむこと、楽しさを感じることは、スポーツの醍醐味であり、他の何事にも代えがたいものです。
スポーツにおいて永遠に勝ち続ける選手やチームは存在しませんが、スポーツに「夢中になる」「没頭する」という経験は、人を大きく成長させます。スポーツにおいて実力を発揮し優れたパフォーマンスを達成するために、また人生において潜在能力を十分に開花させ、ウェルビーイングを高めるためにも、「楽しむ」ことのチカラを一緒に考えてみませんか?

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