数学を使えば自然界の現象をすべて記述できる
自然は原子の相互作用
図形の形を調べるのが「幾何学」です。なかでも「離散幾何解析学」は、目に見えないミクロな幾何(図形)構造が、我々の目に見えるマクロの連続的な現象をどうやって決めているのかを調べる学問です。
物質はいくつかの原子がつながったものである、ということはよく知られています。これをミクロの視点で見ると、実は原子同士は接触しておらず、離れているのです。「水が流れる」などの自然界の現象は、細かく見ればすべて離散的に起こります。実際の現象を起こすのは原子同士の相互作用であり、どんな現象になるかは原子の配列で決まります。
例えば、金属の板に電圧をかけると「電流が流れる」という現象があります。これらをミクロの視点で見ると、金属原子とそこを流れる電子との相互作用による現象ということになります。では、電圧をかけた時に、どんな電流が流れるのか? 流れやすい物と流れにくい物の違いは、どのように決まるのか? 離散的なミクロの世界で、何が起きているのか? これらは物理学の研究分野のように思われるかもしれませんが、物理学の理論研究には数学を使うのです。
微分方程式で現象を表す
ガリレオ・ガリレイは、「宇宙という書物は数学の言葉で書かれている」と言いました。数学は「科学の言葉」です。自然界の現象は、すべて微分方程式で書くことができます。最終的に数学を使わなければ、宇宙の現象は記述できないとも言えます。
物理や化学は、実験や観察によって実際の現象を収集し、仮説を立てます。その現象が起こる本当の理由を検証し、言葉や概念、論理構造を提供するのが数学の役割です。数学が仮説から予測を導き、化学や物理でその予測が観察されれば、仮説はとりあえず正しいものになります。
数学は、きちんと説明できる明快な学問です。あいまいさを排除できるのが、数学の強みです。一般的な言語ではあいまいで突き詰められない現象も、数学という科学の「言葉」を使えば、論理を積み立てて真理を解析できます。
※夢ナビ講義は各講師の見解にもとづく講義内容としてご理解ください。
※夢ナビ講義の内容に関するお問い合わせには対応しておりません。