投資行動も自然の美も、数学でわかる?
株価を予測する「確率論」
離散幾何解析学の研究には「確率論」と「群」を使います。確率論は、ランダムなものから統一的なものを取り出すための道具です。たくさんある原子はそれぞれデタラメに動き、その総体が我々が見ているマクロの現象になります。ランダムに動くものの中から、どうやって統一的な現象が出てくるのか、それを理解するために使われるのが確率論です。
確率論の手法は、経済現象にも使われます。「数理ファイナンス」と呼ばれるものです。株に投資する投資家の考えや動機はさまざまです。一人ひとりにインタビューして、解析していくのではきりがありません。デタラメに行動しているランダムな現象が集まって、統一意志としての株価が決まっていますから、株価をある程度予測するには、ランダムに人を集めて、総体としてどちらの方向を向いているかを見極めなければいけません。そこで使われるのが確率論です。株価を扱うのにも、数学はとても役に立ちます。
蜂が六角形の巣を作るわけ
群は「対称性」を表す言葉です。対称性は、幾何学の重要な概念の一つです。自然界には、きれいな対称の形がたくさんあります。例えば、蜂の巣です。実際に何を考えてあの六角形の巣を作っているのかは蜂に聞いてみなければわかりませんが、数学的に考えられる理由は2つです。
まず、なるべく少ない材料で広い部屋を作ろうとすると、(壁の)表面積が少ない六角形になるということ。もう一つ、六角形には、隙間なく敷き詰められるうえに面積が広いという特徴があることです。蜂たちがそれぞれ同じくらいの力で部屋を広く取ろうとすると、自然と釣り合いが取れ、巣が六角形になるのです。
また、土星や地球の美しい円や球は、表面積を小さくしようとして生まれた効率の良い形と言えます。円は図形の中でも最も対称性の高い図形です。自然界で不思議なのは、効率性だけで生まれた結果、対称性が高い美しい形がつくられていることです。
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