講義No.09009 物理学 教育

宇宙の成り立ちを解き明かす、古くて新しい「天文学」の魅力

宇宙の成り立ちを解き明かす、古くて新しい「天文学」の魅力

根源的な疑問を解き明かす

天文学は超巨大な空間と時間の入れ物である宇宙(Universe)を研究対象としています。宇宙が創成し、私たちが存在するまでの壮大な絵巻物を科学的に解き明かす、最も古く、また最も新しい学問です。
これまで数多くの研究者たちが未知の天体や天文現象の観測を行い、法則を発見してきました。「生き物はいつ生まれ、地球は誰がつくったのか」「地球以外にも生き物が暮らす星があり、彼らと出会うことはできるのか」など、誰もが一度は抱いたことがある問いに対して、星や宇宙の研究を通して客観的な答えを与えようとする科学が天文学です。

天文教育の3つのフィールド

天文学は、教育の分野でも社会に大きく貢献してきました。1つは研究者の養成です。人工衛星や巨大望遠鏡の設計・製作や、それを使った観測、スーパーコンピュータを使った計算、また理論研究を行う天文学の専門家を育成します。2つ目は教員の養成で、学校や教育施設における授業や指導を通して「天文学を学びたい」という子どもたちの心に火をつけ、専門的な学びへと導きます。3つ目は科学館の学芸員や科学雑誌のライターといった生涯学習分野です。この分野では、記事の執筆、天文のPRなどを通して天文学の魅力を世界中に広げます。

私たちは星からできている?

ビッグバンにより宇宙が創成されたとき、世界に水素とヘリウム以外の物質はありませんでしたが、私たちの身体はそれ以外の多くの物質で構成されています。この100年の研究の結果、水素原子とヘリウム原子が重力で集まり恒星を形成し、恒星内部での核融合反応によって、さまざまな原子が誕生していったことがわかってきました。
つまり、私たちの身体は、星屑だったことが科学的に解明されたのです。このように、宇宙の新たな原理や法則を発見するといった科学的な解明が、私たちの意識や世界観を変えるということにも、天文学の魅力があると言えるでしょう。

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先生情報 / 大学情報

和歌山大学 教育学部 科学教育 教授 富田 晃彦 先生

和歌山大学 教育学部 科学教育 教授 富田 晃彦 先生

興味が湧いてきたら、この学問がオススメ!

天文学、宇宙科学、理科教育学

先生が目指すSDGs

メッセージ

力学の研究を完成させたアイザック・ニュートンが引用した有名な言葉に「私が彼方を見渡せたのだとしたら、それはひとえに巨人の肩の上に乗っていたからです」というものがあります。巨人とは先人の偉業を意味しています。つまりニュートンは、多くの研究者が残してくれたことを学んだからこそ、自分が大きな発見ができたと言っているのです。
すべての学問は、この巨人の肩の上に乗るための修業であるといえるでしょう。ぜひあなたも、偉大な先人たちが残してきた科学を学び、世界を見渡せる力を持った人になってください。

先生への質問

  • 先生の学問へのきっかけは?
  • 先輩たちはどんな仕事に携わっているの?

和歌山大学に関心を持ったあなたは

和歌山大学は未来を託そうとする若者、保護者のみなさんの願いを受けとめ、若者とともに希望ある未来を創り出したいと決意しています。
新たな学びの場・新たな生活の場へ、期待とともに不安もあると思いますが、国立大学の強みは、学生数に対して教員数が多く、学生と先生の"つながり"が強固なことです。なかでも和歌山大学は、小規模クラス授業や対話的授業を重視するなどきめ細やかな教育と、行き届いた学生生活支援の体制を整えています。そして、卒業後の進路・就職を拓くキャリア・サポートには定評があります。