銀行は、もともと金細工職人だった
銀行の語源は「机」
銀行の主な業務は預金者から預かったお金を企業などに貸し出すことです。社会に対して影響力がある銀行ですが、その発祥は12~3世紀のイタリア。ローマやフィレンツェなどで、金融業者たちが緑の敷物を敷いた机を置いて、金と銀の両替や為替取引をしていました。その机のことをイタリア語で「BANCO」と言い、それが英語になって「BANK」となり、銀行の意味になりました。
金(きん)が生み出した銀行と紙幣
当時は、両替が主な業務でしたが、現在のようにお金を預けたり引き出したりする銀行になったのは、16世紀後半~17世紀初頭にかけてのロンドンでした。当時のイギリスは資金が世界から集まってくる国でしたが、決済手段は金(ゴールド)でした。治安もよくない時代だったので、富裕な商人たちは儲けた金をどこかに預ける必要がありました。そこで目をつけたのが金細工職人(ゴールド・スミス)です。ゴールド・スミスは金を扱うので安全のため頑丈な金庫を持っていました。ゴールド・スミスは商人たちから金を預かり、預り証を発行します。商人は決済で必要なときに預り証を持って行き、金を金庫から出してもらっていました。
これが繰り返されていくうちに、ゴールド・スミスはあることに気づきます。金を引き出されても、いつもある程度の金は金庫に残っています。そこで、商人に金を貸し出すようになりました。貸し出した金は投資され、さらに富を生み、再び預けられます。金庫にある金はだんだん増えていきました。こうして銀行の仕組みとして確立していき、預り証は紙幣に進化していきました。
昔も今も変わらない信用度
ゴールド・スミスの間には信頼度の差がありました。信用できないゴールド・スミスには商人が金の引き出しに殺到しました。1997~9年頃に日本の銀行や証券会社が破綻したときに起こった、銀行の取りつけ騒ぎと同じです。信用度が低くなると騒ぎが起こるというのは、昔も今も同じことです。
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