講義No.12007 経済学

私の「お金」:地球環境を守り、世界平和をもたらすもの

私の「お金」:地球環境を守り、世界平和をもたらすもの

「お金」の正体

あなたは「お金」の正体を知っていますか? ジンバブエでは、ハイパーインフレが起こり、300兆ジンバブエドルの価値が日本の約1円まで低下し、2015年に自国通貨を廃止しました。 南太平洋のヤップ島では、かつて使われていた大きな「石貨」は道端に置かれており、取引の度に持ち主が変わるだけです。実は日本でも、お金の大半は銀行の通帳の数字です。お金は、世界の限りある資源を有効に使い、世界を幸せに導くための「仕組み」に過ぎません。

投資は応援する行為

世界有数のお金持ちのビル・ゲイツとウォーレン・バフェットは、自分の財産の大半を「ゲイツ財団」に寄付し、世界中のワクチン、医療、衛生、農業などに約7兆円の助成をしてきました。さらに世界中の資産家に呼び掛け、28カ国の231人から全資産の半分以上の寄付の賛同を得て、実名公開しています。
しかし、資産家の寄付だけでは限界もあります。新型コロナウイルスにも使われたmRNAワクチンは、10年以上前から数千億円の「投資」で研究が継続でき、完成直前だったため、迅速に供給されました。投資は、意識して自分が応援したい事柄や人々に託する行為であり、それらが集まり、将来の世界を創っています。

自分のお金が平和や環境を導く

日本全体では個人の金融資産が約2,000兆円あり、大半が金融機関等に預けられ、間接的に企業に貸し付けられています。過去には、私たちが意識しないうちに、非人道的な武器(クラスター爆弾)関連企業に多額の融資が行われていました。現在でも、日本のお金は、環境負荷の大きい石炭火力への融資が世界で最も多くなっています。一方で、直接的な「投資」が多い欧米では、石炭火力のダイベストメント(投資撤退)が進み、再生可能エネルギーに投資し、コストダウンが大幅に進みました。日本でも、投資家の働きかけで、石炭火力のダイベストメントが始まっています。これらは一例ですが、経済学は、私たちの「行動」が与える世界全体への影響を解明するために、多様な研究が進んでいます。

参考資料

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先生情報 / 大学情報

神戸学院大学 経済学部 経済学科 教授 林 隆一 先生

神戸学院大学 経済学部 経済学科 教授 林 隆一 先生

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経済学、コーポレートファイナンス

先生が目指すSDGs

メッセージ

「経済学」はお金を上手に儲ける方法ではありません。「人々が幸せになるにはどうすればいいか」の学びです。一般のイメージと異なり、環境、格差、教育、生活の問題なども分析対象で幸せを導く「仕組み」の構築を考えます。経済学は、世界中で約250年かけて現実の変化に適応しつつ研究を積み上げ、普遍的に当てはまる「仕組み」を模索し続けています。
知識を覚えたり、資格取得したりする勉強はすぐに役立ちますが、すぐに陳腐化するものも多いです。「仕組み」を学ぶ経済学は、国や時代を超えて普遍的に役に立つ学問だと思います。

先生への質問

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