音楽を経済面から見た場合のプロデューサーという仕事
チケットの値段はどうやって決まるか
あなたは好きなアーティストの音楽をライブで楽しんだことがありますか? 「もっとチケットが安ければ行きたいのに」と思ったことがあるかもしれません。
ところで、ライブのチケットは、どうやって値段が決まっているのでしょうか。アーティストの人気や実績でしょうか。実は、必ずしもそうではありません。ライブそのものの構成・演出や、会場の規模・特性、会場へのアクセスなど、いろいろな要素がからみ合っているのです。ライブだけで収支を黒字にしたい場合は、チケットの売り上げと経費のバランスでおおよそのチケットの値段が決まります。
プロデューサーの仕事
しかし、ライブを「CDを売るためのPRツール」ととらえ、一定の赤字は認めてもよいという考え方もあります。この場合、チケットが売り切れるということが重要です。狭い会場でも満席のほうが、その後クチコミで評判が広がっていき、結果としてCDが売れるからです。
満席の場合、チケットを買えた人と買えなかった人の間に大きな落差が生じることになりますが、そのことが重要なのです。何回も来たいという満足感、あるいはチケットがなかなか取れないという飢餓感を持たせるには、という視点で、ライブの回数や会場の大きさが決まるのです。これら全体を見通してチケットの値段を決めるのが、ライブのプロデューサーです。
理論化が待たれる分野
今やネットでの音楽配信が主役になり、CDが大量に売れることはなくなってきました。消費者としては、自分に合ったものを探しやすい状況になったと言えます。したがって、プロモーションのあり方も多様な趣味にこたえるようなものに変わっていくでしょう。
このように、音楽を経済面から研究する分野は、研究者も少なく、本格的な理論書も多くありません。なぜなら学問的にアプローチをするには、業界の経済規模がそれほど大きくなく、状況がかなり流動的で、統計も少ないからです。しかし、音楽業界が大きくなるためには、これから専門家が増えることが必要でしょう。
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