これからの長い人生、マネープランをどう立てる?
貯蓄と投資、どっちがお得?
多くの経済メディアは、よく「日本人は貯蓄ばかりして、株式などの投資をしない」と語り、それを「金融に対するリテラシー(知識や能力)が低いからだ」と評します。中でも高齢者にその傾向が強いとみなしています。一方、投資をする高齢者は、銀行や証券会社に言われるままに金融商品を買わされている、というイメージを持たれがちです。はたして本当にそうなのでしょうか?
ある研究で二千人規模の高齢者を対象に、投資に関する意識調査が行われました。「投資をする際に、金融機関の意見をあまり参考にしない」「自分で意思決定している」人が多数という意外な結果が示されました。
デフレが続く経済環境
では、貯蓄に励んで投資に手を出さない人たちは、投資をする人たちよりも損をしているのでしょうか。少なくとも1990年代のバブル崩壊から30年あまりを見ると、投資をする人としない人との間に、損得に大きな差は見られませんでした。理由は、日本経済全体で、デフレーション(デフレ)が続いたからです。物価が継続的に下落するデフレ状態では投資をしてもしなくても、結果論的には大きな差が出ませんでした。一般的にデフレ経済下では、年金所得のある高齢者は快適です。年金は定額で、物価は下がっていくからです。それに対して企業や若い働き手にとっては、デフレは厳しい環境です。企業の売り上げが伸びないことで、給料が上がらないからです。
投資は長期視点で見極めを
特に10代の若い人たちは、人生がこの先何十年も続きます。貯蓄と投資のメリットやデメリットは、経済環境がインフレかデフレかで大きく変わります。さらに投資の種類によって、リターンとリスクの幅もさまざまです。経済環境や、投資の内容を十分に理解したうえで、あまり目先の損得にとらわれすぎることなく、「分散投資」をキーワードに、自分の人生設計に合ったマネープランを立て、実行していくことが大切なのです。
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先生情報 / 大学情報
京都橘大学 経営学部 経営学科 教授 近藤 隆則 先生
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