夢を持った薬を見つけよう
身体によくないメタボの脂肪
太っている人の脂肪をやせている人の体に注入すると、なにが起こるのでしょうか。脂肪の細胞を研究したり、太っているネズミの脂肪をやせているネズミに埋め込んで経過を観察すれば、脂肪がどんな働きをするかがわかります。実際に試したところ、脂肪を入れられたネズミの体調は悪くなりました。これは脂肪の中に何らかの悪いものがあるからだろうと考えられます。このように、脂肪が身体によくないことが実験によって証明されたのです。メタボリックシンドロームも、脂肪が悪いものを作って体中に撒き散らしていると考えられています。
また、逆に筋肉が大きくなると血糖値が下がって糖尿病になりにくくなり、心臓にも非常にいいということが証明されています。
副作用の心配がない抗がん剤
薬理学は、薬の効果を調べ、客観的に評価する学問です。薬の成分に対して体がどのように反応しているか、患者がどう治るのかを研究しているため、結果として新薬の開発につながることもあります。
例えば、がんの薬である抗がん剤は非常に副作用が強いことが知られています。副作用は、薬が健康な細胞にまで影響していることから起こってしまいます。髪の毛が抜けるのは、髪の細胞が薬の影響で死んでしまっているからです。
そこで、副作用のない薬はできないかと考えて、がん細胞だけが持つ物質を見つけ、それを壊すような薬を作ることが研究されています。薬の表面に特殊な物質を塗ると普通の細胞には取り込まれず、がんの細胞だけに作用します。このように、ピンポイントに効くようになると、強力な薬でも安全に飲むことができるようになります。この抗がん剤は細胞でのチェックが終わって動物実験の段階に入っており、いずれでもよく効いているという結果が出ています。ピンポイントに作用してほかの部分に影響が出ないため、安心して効果を強めることができるのです。近い将来には、副作用の心配がない抗がん剤が誕生する可能性が大きくなっています。
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