講義No.01969 薬学

夢を持った薬を見つけよう

夢を持った薬を見つけよう

身体によくないメタボの脂肪

太っている人の脂肪をやせている人の体に注入すると、なにが起こるのでしょうか。脂肪の細胞を研究したり、太っているネズミの脂肪をやせているネズミに埋め込んで経過を観察すれば、脂肪がどんな働きをするかがわかります。実際に試したところ、脂肪を入れられたネズミの体調は悪くなりました。これは脂肪の中に何らかの悪いものがあるからだろうと考えられます。このように、脂肪が身体によくないことが実験によって証明されたのです。メタボリックシンドロームも、脂肪が悪いものを作って体中に撒き散らしていると考えられています。
また、逆に筋肉が大きくなると血糖値が下がって糖尿病になりにくくなり、心臓にも非常にいいということが証明されています。

副作用の心配がない抗がん剤

薬理学は、薬の効果を調べ、客観的に評価する学問です。薬の成分に対して体がどのように反応しているか、患者がどう治るのかを研究しているため、結果として新薬の開発につながることもあります。
例えば、がんの薬である抗がん剤は非常に副作用が強いことが知られています。副作用は、薬が健康な細胞にまで影響していることから起こってしまいます。髪の毛が抜けるのは、髪の細胞が薬の影響で死んでしまっているからです。
そこで、副作用のない薬はできないかと考えて、がん細胞だけが持つ物質を見つけ、それを壊すような薬を作ることが研究されています。薬の表面に特殊な物質を塗ると普通の細胞には取り込まれず、がんの細胞だけに作用します。このように、ピンポイントに効くようになると、強力な薬でも安全に飲むことができるようになります。この抗がん剤は細胞でのチェックが終わって動物実験の段階に入っており、いずれでもよく効いているという結果が出ています。ピンポイントに作用してほかの部分に影響が出ないため、安心して効果を強めることができるのです。近い将来には、副作用の心配がない抗がん剤が誕生する可能性が大きくなっています。

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香川大学 医学部 医学科 教授 西山 成 先生

香川大学 医学部 医学科 教授 西山 成 先生

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メッセージ

香川大学では、診療と研究と教育の3つを並行して行っています。一生懸命勉強して、地域医療や先端医療に貢献しようというモチベーションの高い学生がたくさんいます。もちろん、勉強だけでなく、クラブ活動などにも力をいれて楽しい学生生活を送っている人も多くいます。医師と一緒になって社会貢献できる環境なので、これからも志の高い人と研究を進めていきたいと考えています。

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香川大学は、「知」が価値を持つ時代、21世紀にふさわしい大学になろうとしています。また、個性と競争力を高めるために「地域に根ざした学生中心の大学」をめざしています。
瀬戸内の温暖な気候と豊かな自然にはぐくまれた香川大学は、6学部8研究科(専門職大学院を含む)を擁し、専門分野のバランスがよい総合大学に発展しており、それらの機能を活かし、創造性豊かな人材を養成します。また、「出口から見た教育の重視」をかかげ、教育の質を向上させ、国際的にも活躍できる人材の養成に努めます。