バイオ医薬品を患者の元へ! 製造・品質を支えるバイオ人材

バイオ医薬品とは何か? その特徴と価値
バイオ医薬品は、遺伝子組換え技術や細胞培養技術などの最先端のバイオテクノロジーを利用して作る薬です。効果が高く副作用が少ないというメリットがあり、がん、リウマチなどの薬が次々に登場しています。
新薬の開発はバイオ医薬品にシフトしています。動物細胞や微生物を使うことから製造が難しいため、製造方法・プロセスの研究も盛んに行われています。
バイオ医薬品の品質制御の重要性
低分子医薬品は、いろいろな薬品を化学反応させて作ります。分子量が小さく、構造が比較的単純で、化学反応・合成の条件もコントロールしやすいため、一定の品質のモノを安定して製造できます。
一方、バイオ医薬品の有効成分はタンパク質です。目的のタンパク質を作らせる細胞を培養して大量生産しますが、生き物なので、ペットを育てるのと同じように、特性に合わせた方法や条件を考えなければなりません。タンパク質は分子量が大きく構造が複雑なためコントロールが難しく、わずかな条件の変化で違うものができてしまうことがあります。また、研究室で培養に成功しても、工場の数キロリットルの巨大なタンクでうまくいくとは限らず、少しずつスケールアップして方法・条件を検討する必要があります。
薬の製造プロセスや品質管理などについて研究開発する分野を「CMC(Chemistry, Manufacturing and Control)」といいます。すばらしい新薬が生まれても、CMCなしには患者の元に届きません。特に製造が難しいバイオ医薬品では、CMCの研究が重要です。
求む! バイオ人材
バイオ医薬品は成長産業であり、バイオ医薬品の研究者・技術者といった「バイオ人材」の育成は日本全体の課題です。特に製造現場の運用が担える技術者が不足しており、育成に力を入れる企業が増えています。最近では、バイオ人材を育成しようとする大学もあります。効率的な生産のため、DXを活用する研究なども行われています。
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山陽小野田市立山口東京理科大学工学部 医薬工学科 教授牧元 隆 先生
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