公営企業の無駄を調べる

公営企業の無駄を調べる

無駄とは何か?

企業は労働、機械、原材料などを使ってものやサービスをつくりだします。ただ同じ量の労働、機械、原材料を使ってもある企業なら100つくれるところを、別の企業なら80くらいしかつくらないかもしれません。その20の差が無駄となります。これは、ものやサービスをつくりだす技術という面からみた無駄です。
また、ものやサービスをつくるためには、働いている従業員に給料を払ったりしますので、お金がかかります。ものやサービスを同じだけつくるとしてもある企業では100万円かかるところを、別の企業では120万円かかるかもしれません。この差の20万円がやはり無駄となります。これは、ものやサービスをつくりだすためのお金という面からみた無駄です。
これらの話のように企業の無駄を経済学では数値として客観的に測ることができるのです。

無駄を生み出すものは

実は、水道事業や公立病院のような公営企業には無駄が生まれやすいのです。民間企業では無駄をなくそうと努力します。そうしないと競争相手に負けて倒産してしまいます。ところが公営企業は倒産することはまずありません。ということになると、努力しなくてもいいじゃないかという気持ちになったりします。水道事業を例にとれば、その地域で水道の経営ができるのは市町村であって、民間の企業がすることはできません。そうすると、競争相手がいませんから経営努力が疎かになり、無駄が発生する可能性が生まれます。
また、補助金も無駄を生む要因です。補助金が多ければ、その分稼ぐ必要はありませんので、努力しなくても済みます。公営企業には、経営している市町村などから補助金が出ています。補助金がまったく必要ないということではありませんが、その用途や額が適切かどうかについてはよくわからないところもあります。水道事業や公立病院では、補助金が増えると無駄が増える傾向にあることが示されています。
このような無駄を調べることが、これからの行政に生かされるとよいでしょう。

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名古屋市立大学 経済学部 公共政策学科 教授 中山 徳良 先生

名古屋市立大学 経済学部 公共政策学科 教授 中山 徳良 先生

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経済学、公共政策学

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メッセージ

高校では文理選択がありますが、興味関心を1つに絞るのは、まだもったいない気がします。たとえ理系を選択しても、浅くてもいいので文系分野にも広く関心を持ってみてください。将来、進路や就職を決める時には、たくさんの選択肢を手にできることでしょう。
経済学には、マクロ経済学やミクロ経済学のほかに、都市経済学、環境経済学など多様な分野があります。こうした幅広い視野を持つことで、学ぶ楽しさが広がります。また、経済学は理論をきちんと検証できる学問です。私はその楽しさやおもしろさを少しでも伝えたいと考えています。

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