水道が危機的な状況!? 私たちの生活に関わる公共政策
更新に130年!
現在、日本の水道事業は危機的な状況に陥っています。技術者の高齢化による人材不足や技術継承の問題のほか、特に深刻なのは設備の更新の問題です。高度成長期に飛躍的に整備された水道インフラは老朽化の時期を迎えています。すべてを更新するには130年かかるといわれているほどです。
水道事業者は、更新に回すお金に余裕がありません。人口の減少、家電などの節水機能の向上などから水道の需要が減り、経営が厳しくなっているためです。特に地方の小規模な事業者では経営が大変です。
どんな政策がとられているのか
政府の財政も厳しいので、これからの公共サービスの運営には官民の連携が不可欠です。これをPPP(パブリック・プライベート・パートナーシップ)といいます。そのスタイルは多彩で、業務委託や指定管理者制度、コンセッション(所有権は官、事業権は民)などがあります。特に水道事業に関しては、2019年に改正水道法が施行され、コンセッションを推進しようとしています。これを水道の民営化と呼んだりもしますが、水道の民営化は安全性に不安があるなどの理由により、進んでいないのが現状です。
公共政策から解決法を探ることが急務に
どうしたら水道事業の効果的な運営ができるのか、どんな政策が有益かを考えることが必要です。いくつかの地域をまとめて規模を大きくし、生産性や効率化を図るスケールメリットは欠かせない視点です。また、人口減少時代となり、コンパクトシティ構想が注目されています。拡散している地域をまとめ、公共施設や商業施設などを集中すれば運営・維持管理を効率化できます。ただ、すべての人の移住が難しい、残された人の利便性が悪化するといった課題も多く残されています。
水道は生活にはなくてはならないもので、こうした身近なところに経済に関わる課題は潜んでいます。経済や公共政策の観点から解決策を探ることも求められているのです。
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先生情報 / 大学情報
名古屋市立大学 経済学部 公共政策学科 教授 中山 徳良 先生
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