富める国の責任とは
生命の不平等
アフリカのシエラレオネという国は年間1,000人の子どものうち、5歳以下で亡くなる子が300人もいます。ちなみに、日本では5人。シエラレオネの平均寿命は34歳です。
今の地球上の富の分布をみると、地球人口の2割の人が8割の富を独占しています。この構造は不正ではないでしょうか。貧しくても、なんとか生きていくことができればまだしも、底辺の地域では1分間に子どもが20人も死に、一方で大量の食糧が捨てられているのです。こういう状況はやはり不正であり、私たちは、これを改善するという非常に重たい責任があります。それをやらないということは、人の「生命が平等」にならないという意味で、極めて不正なことをしているのです。
貧困の問題に冷たい日本
国連は世界の貧困を2015年までに半減するために、先進国のGDPの0.7%を拠出するということに合意しましたが、日本はこの問題には冷たい態度を取り続けています。フランスは新しい税金の国際連帯税を導入しました。これはフランス、ドイツ、ブラジル、アルジェリアなどの空港から国際線に搭乗する場合、そのチケット代に税金を上乗せし、そのお金をサハラ砂漠より南の感染症対策に使う、ということを始めています。それで豊かな国の責任を果たそうとしていますが、日本ではそういう発想がなかなか生まれません。
先進国が新たな拠出に消極的なのは、ODAという巨額の途上国支援をやっているからです。ところがODAはほとんどが2国間の支援で、日本の経済発展にとって役立ちそうなところには出します。しかし、本当に必要としているが、日本の利益と結びつかないところには出しません。シエラレオネにはほとんど出していないのが現状です。
国連では、このODAをユニセフ、食糧農業機関(FAO)、世界食糧計画(WFP)にまわしてほしいという要望を先進各国に出しています。国際機関であれば国益に関係なく、本当に困っている国に提供することができます。そういう仕組みの整備が急がれています。
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