講義No.02314 外国語学

名詞の形に注目を!

名詞の形に注目を!

「名詞の形」とは

日本語と違って英語では名詞に形があります。「名詞の形」を形成するのは、名詞の原形を中心に、主に冠詞のaやthe、複数形の-s、それにmyなどの所有格です。ところが、この名詞の形が意外とむずかしいのです。

なぜむずかしいのか

例えば、「彼は上機嫌です」をMOODを使って表現すると He is in a good mood. と a がつく形になり、SPIRITを使うと He is in good spirits. と複数形になります。また、「2国間の関係は良好です」は、Relations between the two countries are good. / The relationship between the two countries is good. です。RELATIONを使った場合は複数形でtheがつかず、RELATIONSHIPを使うと全くその逆で、複数形にはならずtheが必要になります。このように日本語訳が同じでも、英語でどの名詞を使うかによって、名詞の形が異なる可能性があるのです(名詞の個性)。

the や所有格の効果

theや 所有格を使う効果は、一律に「その」や「だれだれの」という意味の追加だけではなく、一緒に使う名詞や動詞などとの関係で微妙に違ってきます。last yearとthe last yearは「去年」と「最後の年」、a former mayor とthe former mayor は「元市長」と「前市長」のような違いを生み出します。He made the deadline.は彼がその締め切りを設定したのではなく、「締め切りに間に合った」の意味です。They shook their hands. (各自が手を振った) とThey shook hands. (握手を交わした) では、theirの有無でその違いを表わします。
もし英語に名詞の形がなかったら、これらの違いを表わすことができなくなってしまいます。名詞の形には注意が必要です。

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先生情報 / 大学情報

名古屋市立大学 人文社会学部  教授 日木 満 先生

名古屋市立大学 人文社会学部 教授 日木 満 先生

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英語学・言語学

メッセージ

英語を本気で勉強したいと思っている人へ。名詞を学ぶときに『意味』と『名詞の形』をセットにして覚えてください。(でないと、あとで私と同じ苦労をします。)辞書を引くとき、訳語だけを拾い読みするのではなく、名詞の形についての情報も探すように意識すると、いろいろな面白い発見があるはずです(「えっ?この意味では複数形だったのか、知らなかった!」というような)。名詞の形に気を配る人とそうでない人では後になって大きな差が生まれると思います。名詞の形に注目して発見を楽しんでください。

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