スムーズな英語コミュニケーションのために知っておきたいこと

スムーズな英語コミュニケーションのために知っておきたいこと

母語習得と外国語学習の違いを知る

私たちにとって母語である日本語の習得と外国語である英語の学習にはどのような違いがあるのでしょうか。まず、開始年齢です。日本語の場合、生まれてすぐ習得が始まりますが、英語の学習は、小学校または中学校です。そして、日本語は意識して勉強しなくても、自然に話せるようになっていましたが、英語は、学習の動機も人によってさまざまで、到達レベルもかなりの個人差があります。

日本語と英語の違いに気づく

日本語と英語の違いを知っていることも大切です。次の(1)と(2)を比較してみましょう。
(1)昼ごはんはサンドイッチを食べた。
(2)Lunch ate sandwich.
 
(1)は日本語として全く問題ありません。一方、(2)は名詞+動詞+名詞の順番なので、一見して英文のようですが、サンドイッチを食べる動作をしたのが、昼ごはんになってしまうので、おかしな意味です。この原因は、英語も日本語のように文の最初に名詞が来ることが多いので、日本語をそのまま英訳してしまうことにあります。しかし、実は、日本語文の最初の名詞は主題、英文の場合は主語で、日本語と英語では、文の最初の名詞は必ずしも同じ意味役割ではないのです。

自分の外国語への意識を見つめる

英単語や文法を知っていれば、コミュニケーションができるわけではありません。英語、英語ネイティブ、英語学習に対して持つ姿勢・意識も、英語コミュニケーションを左右します。これを「言語態度」と呼びます。「ジャパニーズ・イングリッシュは通じない」「ネイティブのようにしゃべらないと通じない」という否定的な言語態度は、積極的にコミュニケーションをしようという意志にはつながりません。コミュニケーションをスムーズに行うためには、わからないという意志表示や理解の確認など、コミュニケーションをスムーズに行うストラテジー(方略)や表現を勉強することも必要です。最後に、「本当にネイティブのようになる必要があるか」を、考えてみてください。

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先生情報 / 大学情報

広島大学 総合科学部 国際共創学科 准教授 柴田 美紀 先生

広島大学 総合科学部 国際共創学科 准教授 柴田 美紀 先生

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第二言語習得理論、外国語学習論

メッセージ

「文法や単語を正しく身につけないと、英語でコミュニケーションはできない」と思いこんでいませんか。確かに、たくさんの英単語や文法規則を覚えることは、大切です。しかし、それと同時に、思いきって英語を使ってみることがとても重要なのです。相手に正しく伝わらない、つまり、間違えることで、なぜ伝わらないかを考え、自分の文法や単語の知識を修正し、どうしたら正しく伝わるかを考える、この積み重ねがよりスムーズなコミュニケーションにつながります。大いに間違えて、小さなステップを積み重ねることが英語上達のカギです。

先生への質問

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