リスクを減らすための金融商品とは?
リスクは必ずある
企業でも個人でも資金を株などの金融市場で運用するとき、いつでも儲かるわけではなく、必ずリスクがともなうことは容易に想像できます。リスクを分析しできるだけ減らすことをリスクヘッジといいますが、それを行う1つの手段として金融派生商品(デリバティブ)と呼ばれるものがあります。これは金融や不動産などの原資産に関連して約定された証券であり、例えば、世界的な不況の原因となったと言われているサブプライムローンも広い意味でこのような商品でした。その価値を経済理論はもとより、確率論や統計学、情報処理など、理系的な手法も駆使して技術的に行う研究分野を金融工学と呼んでいます。
デリバティブでリスクを減らす
オプションという金融派生商品があります。例えば、現在1株100円のある企業の株を買いたい、ただし、いま手元のお金が90円しかなく、1ヵ月先に現金200円が入る予定があるとします。さて、1ヵ月先も株が同じ100円かどうかわかりません。もし人気が出て300円になっていたらせっかく200円あっても買えません。このような状況のとき、「コール・オプション」(例えば、1ヵ月後に150円で手に入れる「権利」)を買うのです。そうするともし300円になっても、権利を行使して150円で購入できますし、逆に150円よりも安くなっていたら、権利を放棄してその時価で購入すればよく、どちらにしても株が手に入り、購入できないリスクがヘッジされます。このように、金融派生商品は本来、金融にまつわるリスクヘッジ手段として開発されたのですが、複雑な仕組みの商品になるほど精確な価値やリスク評価が困難なこと、投機的な側面も内包されうること、などから、サブプライムローンのような失敗が起こったとも言われています。しかしながら、いまや金融関連の実務では当然のように扱われる商品であることから、そのような失敗が起こらぬよう、金融工学の学問としての一層の深化が望まれます。
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