プレイステーション3が高性能計算を可能にする!?
ゲーム機が、高性能コンピュータになる
家庭用ゲーム機としておなじみのプレイステーション3 。時間を忘れてゲームに興じている人も多いことでしょう。プレステ3で見るキャラクターは、まるで現実世界のように自然な動きを見せています。
それもそのはず、プレステ3は、高性能計算(ハイパーパフォーマンス・コンピューティング)が可能な、すぐれたハードウエアなのです。普通のパソコンがさまざまな機能を搭載したために、計算速度についてはあまり高速にはできないのに対し、プレステ3はクリアな映像表現のために高性能計算が可能な仕組みを持っているというわけです。
プレステ3はパソコンを超える?
では、どのくらい高性能なのでしょう。コンピュータの性能を示す単位に「Gflops(ギガフロップス)」がありますが、通常のパソコンが100 Gflops(浮動小数点数演算=普通の人間が筆算で行うと1回計算するのに1分以上はかかる計算を1秒間に1000億回できるという意味)であるのに対し、プレステ3は179 Gflops、グラフィックカード(GPU)は933 Gflopsです。
次世代スーパーコンピュータを使いこなすために
プレステ3やGPUを汎用計算機として科学技術の高度な計算に利用するためには、複雑なプログラムを書かなければなりません。その手間はパソコン用のプログラミングが1日でできるとすると、プレステ3用は3カ月かかるという煩雑さです。パソコンのプロセッサ(演算処理装置)が4個なのに対し、プレステは9個、GPUは240個もあり、プロセッサの数が多いほど、プログラミングも煩雑さを増すのです。
それでもプレステ3やGPUを利用した高性能計算機の開発は有効です。科学技術に役立つ専用の高性能計算機の開発がコストなどの諸条件ですぐには実現が困難だからです。同時に、プレステなどでプログラミングの経験を積んでおけば、数十万個のプロセッサを搭載した次世代スーパーコンピュータが完成したとき、プログラムがスムーズに書ける可能性もあるのです。
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