機器を心地よく使うために、「音」をデザインする!
人と機器をつなぐ「わざわざ発せられる音」
スマホにパソコン、エアコンや電子レンジ、コンビニのセルフレジやATMなど、人はたくさんの機器と接して生活しています。それらを操作するときに出る音は、ユーザーに情報を伝えるという大事な役割を担っています。ATMは操作音や音声が適切なタイミングで鳴るので、初めての人でもお金を引き出せるのです。このように、機器のユーザーをサポートするために、わざわざ発せられる音が、「UI(ユーザインタフェース)サウンド」です。
公共の場でもデザインされた音を活用
誰もが同じようにサービスを受けられるという「アクセシビリティ」の観点で出されている音もあります。例えば、駅の改札やホーム上でゆっくりと鳴っている「ピーン、ポーン」という音。周りの音にかき消されない音量で鳴り続けることで、目の不自由な人に場所を知らせ、誘導しています。最低限の情報を伝えることに特化した、とても意味のある音です。
また、ある航空会社の搭乗用自動改札機は、誰にとっても快適で心地よいもの、という観点でデザインされています。搭乗口を通過するたびに余韻のある美しいメロディで乗客を機内へと誘うその音列には、実は搭乗クラスや読み込みエラーを表すメッセージも含まれています。スタッフは搭乗口の音からさまざまな情報を得て、搭乗者のサポートを行っています。
求められる適材適所
近年は音を出さない機器を探すのが難しいほどで、「しゃべる家電」なども増えています。音声は直接的に伝えられるという利点がある一方で、盛り込み過ぎは不快感を与えかねません。使いやすさや心地よさはもちろん、毎日使って飽きないなど、ターゲット層も考慮した適材適所の使い分けは重要な課題です。理想は、無意識のうちに理解できることです。音量や音色、長さなど、音に関する複雑な要素に、アート的な要素を組み合わせてデザインすることで、人と機器をつなぐUIサウンドは、さらに効果を発揮すると考えられています。
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先生情報 / 大学情報
同志社女子大学 学芸学部 メディア創造学科 教授 和氣 早苗 先生
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情報デザイン学、音響心理学先生が目指すSDGs
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