バイオイメージングと筋細胞~筋肥大のメカニズムを探る~

バイオイメージングと筋細胞~筋肥大のメカニズムを探る~

筋収縮におけるカルシウムイオンの働きとは

人間の筋肉の動きは、生体内の物質のやりとりによって制御されています。筋小胞体という細胞小器官に溜まっているカルシウムイオンが、脳からの電気的な指令を受けると放出され、それに筋原線維が反応することで筋肉の収縮が起こります。反対に、筋原線維の中に放出されたカルシウムイオンが、再び筋小胞体の中に入ることで筋弛緩(きんしかん)が起こります。カルシウムイオンを出したり取り込んだりという動きが、まさしく筋肉が動くという仕組みそのものなのです。

筋運動を画像化

心臓の動きや、消化器、血管の運動もまた同じような仕組みで、すべてカルシウムイオンをきっかけに反応が起こっています。カルシウムイオンの動きを探る研究手法として、主に動物を用いた「In Vivo」実験があります。「In Vivo」というのは「生体内」という意味です。これまでの多くの研究では採取した筋肉組織をシャーレの上に置いて見る「In Vitro」実験が多かったのですが、「In Vivo」だと生きたまま観察することができます。バイオイメージング、つまり生体にいろいろな波長の光を当てることで画像化するので、カルシウムイオンの濃度変化をリアルタイムで観察することができるのです。

解明したい筋肉成長のメカニズム

筋肉の収縮や弛緩だけでなく、筋肉の成長や損傷にもカルシウムイオンが関係していることがわかっています。その理由を解明するためには、細胞内のカルシウムイオンの変動を長期間生体内で観察できるかが課題です。
例えば寝たきりの人の場合、体が動かせないために筋力が衰え、ますます病気が長引いてしまいます。しかし細胞内のカルシウムイオンの制御方法がわかれば、筋力トレーニングをしなくても筋肉の量を維持したり増やしたりできる細胞環境が作り出せるため、健康寿命を延ばすことができるようになるでしょう。

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電気通信大学 情報理工学域 III類(理工系) 化学生命工学プログラム 教授 狩野 豊 先生

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メッセージ

あなたがもし人間や生命、生体のことを研究したいと思うのであれば、生物だけを勉強するのではなく、物理と化学もきちんと勉強することが重要です。理系全般に言えることですが、物理と化学はとにかく基礎中の基礎で、何を研究するにしても必ず後で役に立つ学問です。
そして、たとえ生物専攻ではなくても、どの分野に進んでも人間のことは研究できます。実は工学部でも生物や人間について研究しているところはたくさんあるので、ものづくりだけに限らない工学の研究内容を知っておいてください。

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