「悪条件の問題」を素早く解く高性能計算 AIの発展にも貢献!

「悪条件」の問題を解く「高性能計算」
コンピュータで行う計算の中には、一般的なコンピュータや既存のソフトウェアでは解くのが難しく、時間がかかりすぎる、正確な答えが出ないなど、「悪条件」と呼ばれるものがあります。科学計算や金融分野で必要とされる、複雑な方程式や桁数が非常に大きい数字などを扱う計算です。
そうした問題を早く解くときに用いられるのが「高性能計算」です。解きたい問題に合わせてコンピュータの性能を最大化して、計算時間を減らすためのアルゴリズム、プログラムを開発する研究分野です。
計算の経路を考える研究
高性能計算のプログラムを作るということは、ある答えを出すまでの計算の経路を考えるということです。また、問題の性質によって、効率の良い手順を考えます。
例えば、同じ100個の数字を足し合わせるにしても、1から100まで足すのであれば、「1+100=101、2+99=101」と両端の数字を足すと101になるという法則性がわかっているため「101×50」で解けます。ただし、そういう法則のない100個の数字の場合は99回の足し算が必要です。そのような観点で、計算回数や計算速度を減らす方法を考えるのです。
高性能計算でAIの検算をする
コンピュータの性能もどんどん変わっていますが、それをどう生かすかも大切です。例えばCPU(中央演算処理装置)は速度が遅いけれど複雑な計算が得意です。現段階のGPU(グラフィック演算処理装置)はCPUより高速と言われていますが、単純な計算を大量に行うのが得意なので、そうした特性も考慮した高性能計算システムを構築する必要があります。
高性能計算はAIの計算結果を「検算」に使うことも増えています。AIはどのような理屈でその答えが出ているのかわからず、正確さにかけることもあるのですが、その精度を上げるためにも活用できるのです。
将来的に、高性能計算のプログラムをブラウザ上で使えるようにする研究も始まっています。
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追手門学院大学理工学部 数理・データサイエンス学科 教授幸谷 智紀 先生
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