文系分野でも役立つデータサイエンスの技術
データの分析から、仮説が生まれる
社会学や法学など文系の学問においても、データサイエンスを取り入れた研究が進んでいます。
例えば、地域の課題を解決するために、アンケート調査を行うとします。用紙を集計する際、画像認識技術を使えば集計が楽になりますし、集計データを有効に活用するには情報処理などの数学的知識が役に立ちます。また、そもそもアンケートを作成するには、課題を正しく把握し、そこから仮説を立てて、その仮説が正しいかどうかを確かめるための設問作りが必要とされます。データに基づいて問題の要因を分解して考えることで、仮説を立てることができるのです。
限られたデータから導き出す「フェルミ推定」
「アメリカのシカゴにはピアノの調律師が何人いるか?」といった、正確なデータがなければ答えようがないと思える問題に対して、「フェルミ推定」という手法を使うと概算の数値を導き出すことができます。この例では、シカゴの人口、世帯当たりの人数、存在するピアノの台数、ピアノの調律頻度、1人が1日に調律する台数、調律師の労働日数など、判明しているデータをもとに論理的に想定し、計算していけば、求める数値を算出できるという手法です。当然ある程度の誤差が生じますが、一定の妥当性があるデータとして、仮説を立てるための参考となります。
ICTは使い続けることが大切
課題解決にこうした数学的な論理を持ち込む際、ICT(情報通信技術)が大きな力を発揮します。文系学問の研究にも、今後ますますデータサイエンスが活用されるようになります。その際に大切なのは、ICT技術を使い続けることです。使い続けることが技術の浸透につながり、その利便性をより高めていくことになります。
学問には、解析と融合という2つの側面があり、2つをバランスよく使い分けることで成立します。DX(デジタルトランスフォーメーション)は、データサイエンスと他の学問を融合するためにも効果的な取り組みと言えます。
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九州国際大学 法学部 法律学科 准教授 水井 雅彦 先生
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