知れば知るほど不思議な「水」の力

知れば知るほど不思議な「水」の力

水の性質を変化させた「機能水」

「機能水」と呼ばれる水があります。「電解水」「磁化水」「アルカリイオン水」など、化学的処理をしたり、物質を添加したり、あるいは物質を取り除いたりして、性質を変化させた水の総称です。まず「電解水」を例にとり、どのようなものか説明しましょう。
水道水やプールの水には、殺菌のための塩素が含まれています。これは水に塩素を添加した結果です。一方、少量の食塩を添加した水を電気分解すると陽極から酸素、陰極から水素が発生します。このとき、陽極には酸素とともに塩素も発生し、その水が殺菌力を持つようになるのです。つまり、塩素を入れるのではなく、食塩水を電気分解することで塩素を発生させて、殺菌力のある「強酸性電解水」を作ることができるのです。

さまざまな用途に使われる「強酸性電解水」

この「強酸性電解水」の研究は、始まったばかりです。もともと強酸性電解水は、医療関係者が手や指、手術に使う内視鏡の消毒などに用いていました。しかし、殺菌力についての化学的な裏付けがあったわけではなく、「理由はよくわからないが消毒できる」という理由で使われていたのです。それをきちんと化学の視点から研究することで、殺菌力は塩素によるもの、という根拠を突き止めることができたのです。強酸性電解水は、今では食品の洗浄や農薬の低減といった用途にも使われています。

まだまだ未解明の機能水「磁化水」

「磁化水」は、磁場に水を通すことにより磁気処理をした機能水のことです。工場の排水を磁気処理すると、排水管が詰まりにくくなることがわかっています。磁気処理をした水には、大腸菌に対する殺菌効果があることもわかっています。しかし、なぜこのような効果があらわれるのかというメカニズムは、実はまだ完全には解明されていません。
現時点では、水を磁気処理することで発生する「OHラジカル」という活性酸素の一種が、殺菌・抗菌作用をもたらしているのではないか、と推測されています。

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神奈川大学 理学部 理学科 教授 西本 右子 先生

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高校生のあなたには、可能性がたくさんあります。もし、「ちょっと苦手だな」と思う学問の分野があったとしても切り捨てたりせず、可能性の芽をたくさん持って大学生になってほしいと思います。今の大学教育では、学問の領域にとらわれない「文理融合」という考え方が広まっています。文系だから理系を知らなくていい、理系だから文系分野はわからなくていい、とは考えず、少しでも興味の対象を広く持ち続けてください。それが、将来の自分を伸ばす可能性の芽になるのですから。

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1928年創立以来、真の実学をめざし、自ら成長できる人材を育成してきました。近年では2021年、グローバル系3学部が集うみなとみらいキャンパスが誕生。2022年、「建築学部」を開設、2023年には理工学部を改組し「化学生命、情報学部」を開設。文理11学部すべてを横浜エリアに集結させ、世界レベルをめざす総合大学として、新たな一歩を踏み出しました。
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