基本動作の改善で、日常生活への復帰をサポートする

基本動作の改善で、日常生活への復帰をサポートする

足りない要素を知る

理学療法士は、高齢者などのリハビリテーションをするのが仕事だというイメージがあります。間違ってはいませんが、歩きにくい人に寄り添って歩いているときも、理学療法士は動作を分析しているのです。理学療法士の目的は、基本動作の改善です。なぜうまく歩けないのか原因を探して、歩きやすくするのです。介助をするのは、足りない要素を補っているからで、同時にどの部分を改善したらいいのかがわかってきます。

ケガした部位だけではない

ケガをした場合、ケガした部位だけを治せばいいのではありません。例えば膝の十字じん帯を傷めたとしても、その原因は膝だけとは限りません。膝をひねってしまうのは、股関節や足首の硬さが原因である場合もあります。手術で膝を治療しても、原因となっている部分を改善しなければケガを再発する恐れがあるのです。
テコンドーなどの激しいスポーツでは、太ももの裏の筋肉が切れる「肉離れ」になることがあります。筋肉が切れてしまっているので、そのまま練習を続けるとますます筋肉が切れるだけでなく、筋肉の中での出血がひどくなってしまいます。少量の出血であれば血管が吸収しますが、大量の出血となるとその部位にとどまった血液中のカルシウム成分がかたまって、骨のようなものを作ってしまいます。この骨のようなものが筋肉に触れるとまた肉離れを起こす原因となってしまいます。

動き方にも原因がある

太ももの裏の筋肉が肉離れを起こす場合、多くは動き方に原因があります。特定の筋肉だけに負担のかかる動きを繰り返していると肉離れを起こしやすいのです。また、同じ動作をしていても肉離れを起こす人と起こさない人がいるのは、骨盤の位置が関係していることが多いです。腹筋と背筋のバランスが悪いと骨盤が歪み、特定の筋肉だけに負荷がかかってしまうのです。
太ももの筋肉の多くは腰の骨や骨盤につながっています。骨盤の位置を正しくすることが多くのケガの予防に役立つのです。

※夢ナビ講義は各講師の見解にもとづく講義内容としてご理解ください。

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先生情報 / 大学情報

関西医療大学 保健医療学部 理学療法学科 教授 谷埜 予士次 先生

関西医療大学 保健医療学部 理学療法学科 教授 谷埜 予士次 先生

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理学療法学

メッセージ

理学療法士は、ケガや病気で日常生活が困難になった人の基本動作の改善を行い、もう一度日常生活ができるようにする仕事です。動作を分析するためには、人体の構造や機能、動き方を理解している必要があります。関西医療大学では理学療法の基礎となる解剖学、運動学や生理学などの基礎医学を学べる環境にあります。理学療法士は、「ありがとう」と言ってもらえる、やりがいのある仕事です。患者さんの社会復帰をサポートできるという、この仕事内容をよく理解し、あなたの意志でぜひ理学療法の道を歩んでほしいと思います。

先生への質問

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関西医療大学では「看護師」「保健師」「助産師」「理学療法士」「作業療法士」「臨床検査技師」「はり師・きゅう師」「柔道整復師」の国家試験全員合格をめざし、2学部6学科の学生が同じキャンパスで学んでいます。学科の枠を超えた交流を通して、異なる職種・業種への理解が深まり、チーム医療に携わる者としての素地が培われます。『現役プロがプロを育てる大学』関西医療大学は、学生一人ひとりに目を配り、全員を高いレベルのプロに育て、様々な医療現場から高評価を得る人材育成を実現しています。