理学療法で人間の不良な姿勢を改善せよ

理学療法で人間の不良な姿勢を改善せよ

増える不良な姿勢

スマートフォンやゲーム機などのデジタル機器の普及や、働き方の変化にともなって、現代人の姿勢は悪化しているといえます。その代表的な例が「反り腰」「平背」「猫背」「OA首」です。こうした不良な姿勢は、慢性的な痛みやハリといった症状をもたらします。理学療法は人間の体の動作のエキスパートであると同時に、こうした人間の姿勢に関する問題も専門領域としています。

それぞれの特徴と原因

「反り腰」は、ヒールの高い靴をはく女性に多い姿勢で、本来緩やかなはずの腰椎の湾曲が、過剰に曲がっている状態です。腰痛の原因になるほか、おなかの中のさまざまな臓器や血管(前にある副動脈)が圧迫されて足の血行が悪くなり、冷え性を引き起こすこともあります。逆に「平背」は本来S字に湾曲しているはずの背骨が真っすぐになった姿勢です。背中の上の方が緊張し続けることで自律神経の働きが悪くなり、血行が悪くなったり、体温調節がしにくくなったりします。「猫背」と「OA首」は座ったまま仕事をする人がなりやすい姿勢です。「猫背」は自律神経の乱れだけでなく、胸郭という肺を覆っている部分が圧迫され、心肺機能が落ちてしまいます。「OA首」は「猫背」によって下がった首で前を見ようとするため、首が前に出た姿勢であり、首や肩のコリなどを引き起こします。

不良な姿勢の原因を見極める

不良な姿勢による痛みやハリには筋肉が関わることが多くあり、患者さんの動きを直接見てどの部分に問題があるのかを見極めることが重要です。ときには二次元・三次元解析(モーションキャプチャ)といったデジタル技術を使用して、患者の筋肉や関節の動きを正確に見極めます。人間の体には220から230種類もの筋肉があり、それぞれに神経や血管がつながっています。こうした複雑な構造に対する専門的な理解をもとに、正しい姿勢や動作を示し、それを患者さんに指導することで症状の改善につなげることも、理学療法の大切な役割なのです。

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帝京大学 福岡医療技術学部 理学療法学科 准教授 畑中 秀行 先生

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理学療法学

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メッセージ

私たち理学療法士の仕事は、頭脳もたくさん使いますが、体力勝負でもあります。ですから、あなたが将来この分野をめざすなら、なるべく心身ともに目一杯に鍛えてほしいと思います。それによって運動の大切さを身をもって理解することができ、将来にもきっと役立つはずです。
また、理学療法士は、人から感謝されることがエネルギーにつながる仕事でもあります。自分が将来、誰かに感謝される人間になるためには何が必要なのかを、今のうちから考えておきましょう。

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帝京大学 福岡キャンパスは有明海に面した雄大な自然と最新設備が揃ったキャンパスです。理学療法、作業療法、看護、診療放射線、医療技術(救急救命・臨床工学)の5学科を擁する福岡医療技術学部では、現代の高度な医療に欠かせない知識や技術に加え、患者さんや他職種のスタッフへの想像力やコミュニケーション能力といったチーム医療に必要とされる素養を高めながら、大牟田市という歴史ある土地で官民一体となり、各自治体と連携しながらさまざまな取り組みを実施していくことで医療のプロとして地域に貢献できる人材を育成します。