ゲーム感覚で習得する「クリティカルシンキング」
大切なスキル
これからの時代を生きるために重要なスキルの一つに、「クリティカルシンキング」があります。これは「批判的思考」ともいい、現状の課題や問題点などの本質を見極めた上で、「本当にこれでよいのか」と前提から疑う思考法です。
このスキルがあると、新たな角度や視点から考えられるようになり、新しい価値の創造や課題解決方法が生まれます。また、近年増えている特殊詐欺やフェイクニュースといった「ちょっとおかしいな」ということに気づいて、自己防衛に役立てられます。
習得が難しい人もいる
クリティカルシンキングを育てるには、それを意識した教育が大切です。あるテーマ、例えば「少子高齢化の原因は何か」について考えても、要因を検証するうちにわかった気になって終わりがちです。自分とは異なる意見や、自分では気づかない視点からも考える必要があります。
心理学的に見ると、人にはそれぞれ心のクセがあります。「これはこうだ」と知らないうちに決めつけたり、世の中の出来事を自分の都合のいいように解釈したりします。自分の思考のクセを知ることも大切です。そして近年になって、スキルの習得が難しい人の傾向が判明しました。習得度合いを分析すると、「忍耐強い、やり抜く力がある人」は習得しやすく、その力がない人は、とても難しいことがわかったのです。
誰でもゲームで楽しく
そこで、簡単にゲーム感覚で取り組む方法が開発されました。一つのテーマに対してツッコミ合うクリティカルシンキングゲームです。ツッコミは関西で育まれたクリシンを笑いに変える会話術です。「和式のトイレが減った」というテーマなら、「だから足腰が弱くなった」「和式の時代は柔道が強かった?」「それは関係ないよ」などと、互いにツッコミを入れていくのです。すると、多様な視点や考え、新たな課題などに気づきやすくなります。
このゲームを授業として小中学校から始めれば、自然にクリティカルシンキングの感覚をつかめるようになるでしょう。
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先生情報 / 大学情報
三重大学 教育学部 学校教育講座 教授 南 学 先生
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