看護の知識と技術を身につけるために必要な学問の話
幅広い知識が必要な看護職
看護学は、いろいろな学問の要素を含む「学際的」な学問だと言われます。身体のこと以外に、患者さんの心を知ろうと思えば心理学、社会的な面を考えるなら社会学や教育学、もちろん一般教養も必要です。文系・理系、どちらの要素も含んでいるのです。
看護に物理学の知識が必要!?
物理学や生化学・生理学は、看護の仕事に欠かせない分野です。患者さんの身体の支え方や、どこを支点にすると身体を楽に動かせるかというのは、物理学「力学」の基本です。立ち上がるためには、まず上体を前傾しなければならないと知っていれば、患者さんの真正面に看護師が立ってはいけないことがわかるでしょう。また、点滴はなぜ落ちていくのか、力学的な仕組みを理解しなければ、医療ミスにつながりかねません。
ほかに、糖尿病の看護に必要な代謝機能の知識は生化学、なぜ発熱するのか、どうすれば体温が下がるのかを理解するのは生理学です。
学問的な理屈を知って看護を行うのと、知らないまま行うのとでは大きな差があります。いま行っている処置が安全かどうかを正しく判断するためにも、知識の修得は重要です。
自立を支援する、それが看護の基本
例えば、コンビニのお弁当を食べるには、どのような「動作」が必要でしょうか。コンビニへ行き、商品を手にとり、財布からお金を出し、商品の入ったレジ袋を受け取って家に戻る。弁当の包装をはがして、割り箸を割り、しょうゆを開けておかずにかけ、食べたい順に口へ運ぶ……。ざっと挙げるだけでも、これだけの動作ができる必要があります。
看護の基本は自立を支援することです。何ができるようになれば患者さんは家(あるいは施設)へ帰れるのか。それは、食べることやトイレに行くことなど、日常生活の動作です。看護師は、当たり前のことができるありがたさを、しっかりと理解しなければなりません。
看護師が行う支援は、「看護学」という看護の基盤となる知識や技術に基づいたものです。看護師は幅広い看護の知識と技術を持った専門職なのです。
※夢ナビ講義は各講師の見解にもとづく講義内容としてご理解ください。
※夢ナビ講義の内容に関するお問い合わせには対応しておりません。