がんを早期発見! 細胞検査士による細胞診

がんを早期発見! 細胞検査士による細胞診

細胞の“顔”を見分ける

「がん」は早期発見・早期治療が大切です。その発見方法の一つに「細胞診(さいぼうしん)」があります。
人間の身体は約60兆個の細胞でできていて、そこから突然変異して増え続ける細胞が「がん細胞」です。細胞診は、採取した細胞をスライドガラスに塗布し、そのままではほぼ無色なので染色液で色をつけ、光学顕微鏡を通して人間の目で見て、がん細胞を探します。文字通り、細胞を見て診断するのです。これを行うのが「細胞検査士」です。
がん細胞は、一目でそれとわかるものだけではありません。変異しているが悪性ではないもの、見た目ががん細胞と似ていて識別しにくいものなどさまざまです。細胞の“顔”をきちんと見分けられる能力が細胞検査士には必要です。

手軽に受けられる細胞診

細胞の取り方には、1.痰や尿など排泄されたものから取る(肺がん・膀胱がんなど)、2.体の一部をこすって取る(子宮頸がん・子宮体がんなど)、3.しこりに針を刺して吸い取る(乳がん・甲状腺がんなど)という方法があります。このうち肺がんと子宮頸がんにおいては、がん検診でも細胞診による検査が行われており、比較的ポピュラーな検査方法と言えます。
細胞診は手軽に受けることができて、痛みも少なく、繰り返し検査を受けることが可能です。がんの早期発見の第一段階として、大変重要な役割を担っているのです。

細胞検査士の数が足りない

子宮頸(けい)がん検診は20歳以上の女性なら誰でも受けることができますが、日本の受診率は23.7%で、先進国では最低レベルです。2009年には子宮頸がん検診の無料クーポンが全国の自治体で配布されました。しかし、細胞検査士の数が足りず、対応に苦慮する事態が発生してしまいました。
受診率を50%まで引き上げようという推進運動が行われていますが、現状の細胞検査士の数では対応しきれないのではないかと予測されています。細胞検査士は患者さんと直接ふれあう機会が少なく、あまり知られていない仕事ですが、今後の需要はますます増えるでしょう。

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先生情報 / 大学情報

愛媛県立医療技術大学 保健科学部 臨床検査学科 教授 則松 良明 先生

愛媛県立医療技術大学 保健科学部 臨床検査学科 教授 則松 良明 先生

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臨床検査学 形態学 病理学

メッセージ

日本人の死亡原因第1位であるがんの細胞や、病気に関連する細胞、病原体などを顕微鏡で見て発見する検査を細胞診と言います。細胞診はがん細胞の早期発見をはじめ、いろいろな病気の診断と治療に役立っています。
細胞検査士は、細胞診でのスクリーニング業務を担当する臨床検査技師です。ひとくちに細胞と言っても多くの種類が存在し、それぞれ特有の“顔”があります。細胞検査士は病気による細胞の“顔”の変化を見逃さず、例えば、がん細胞なのか、がん細胞とよく似た良性細胞なのかを的確に探し出すスペシャリストです。

愛媛県立医療技術大学に関心を持ったあなたは

愛媛県立医療技術大学保健科学部は、看護学科と臨床検査学科の2学科で構成されています。4年間の大学生活を通して、人としての豊かさ、保健医療専門職としての倫理観、専門分野の知識・技術、自ら考え行動する実践力などを培うとともに、卒業後の活動においても、常に将来を見据え社会の変化や保健医療の進歩に的確に対応できる主体性や課題解決能力を身につけて欲しいと考え、教育目標やカリキュラムを編成しています。
人々の健康生活に関心のある方々、社会に貢献できる保健医療専門職を目指してぜひ本学の門をたたいてください。