障がいのある人の生活を支えるには~作業療法の視点から~

障がいのある人の生活を支えるには~作業療法の視点から~

生活の再構築が必要になる

病院から退院するとき、病気やケガが完治しているとは限りません。障がいが残ったまま退院した場合、手すりの設置や家具の配置変えなどの住環境を調整して、生活を再構築する必要があります。
特にこれまでとの動きが変わるのが玄関で、靴を脱ぎ履きすることの難しさに直面することが多いのです。そうした退院後の生活を手助けするため、作業療法士は事前に患者さんと共に自宅を訪問し、生活や動線のチェックを行います。主婦や一人暮らしの場合、家事もこなさなくてはならないため、病院で料理や洗濯の練習も行います。

心のケアも作業療法士の仕事

生活面だけでなく、心のケアも大切です。障がいが残ると心身のバランスが崩れ、ふさぎ込んでしまう人も少なくないからです。そこで外出を促し、同じような障がいのある人との触れ合いやスポーツなどの活動を通じて成功体験を積み重ね、自信を取り戻してもらいます。
社会参加することで得られるものは大きいのですが、地方の場合は車社会であることから、外出自体が困難になることがあります。ある程度の規模の都市であればコミュニティバスが運行されていますが、山間部となると孤立しがちです。いわゆる団塊の世代が75歳を迎える2025年に向け、「地域包括ケアシステム」の整備が進められています。その一環として各地に設立されている介護予防サロンなどをうまく利用し、他者との交流を図っていくことが必要です。

障がいのある人が安心して働ける環境づくりを

障がいのある高齢者への生活支援が整い始めている半面、若年層に対してはやや行き届かないところがあります。特に働いている年代の場合、就労の問題も絡んできます。一般企業は一定の割合で障がいのある人を雇用することが法律で定められてはいますが、障がいの程度によっては退職を余儀なくされてしまうケースも少なくありません。40代、50代といった働き盛りで脳卒中を発症する人は増えていますし、今後は障がいのある人の就労支援とともに安心して働ける環境づくりが求められています。

※夢ナビ講義は各講師の見解にもとづく講義内容としてご理解ください。

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新潟医療福祉大学 リハビリテーション学部 作業療法学科 准教授 能村 友紀 先生

新潟医療福祉大学 リハビリテーション学部 作業療法学科 准教授 能村 友紀 先生

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作業療法学

メッセージ

体や脳の働きがわからないと、障がいを正しく理解することはできません。例えば脳内は、「手足を動かす部位」「言葉を話す部位」などに分かれていて、脳の障がいがどこにあるかで、その人が「できること」と「できないこと」の原因がわかるからです。そういう意味で、「作業療法学」は人間の体や心の仕組みに興味のある人には向いています。
一人ひとりの障がいと向き合っていくなかで、次第にできなかったことができるようになるのを目の当たりにすることは大きな喜びであり、やりがいのある仕事だと言えます。

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6学部15学科すべての学科で国家資格をはじめとした専門資格の取得に対応したカリキュラムを配置しています。また、看護・医療・リハビリ・栄養・スポーツ・福祉の総合大学である利点を生かし、他学科の学生がチームを形成して学ぶ「連携教育」を導入し、関連職種への理解やコミュニケーション技法を身につけることで実践的な「チーム医療」を学びます。さらに、【スポーツ×リハビリ】【看護×福祉】など、学科コラボによる学びで、幅広い知識を修得します。