看護師は何でもしてくれる「白衣の天使」なの?

看護師は何でもしてくれる「白衣の天使」なの?

たまたま「患者」、たまたま「看護師」

あなたは看護師に対してどのようなイメージを持っていますか? 「医師の手伝いをする人」、それとも「白衣の天使」と言われるように「奉仕や無償の愛の精神で何でもしてくれる人」でしょうか。実はどちらも正しくありません。看護師は天使ではなく、「人間」として患者さんに接します。「患者」と「看護師」は対等な人間同士であり、たまたま立場が違うだけなのです。

「あげる」と「させる」は看護師の仕事ではない

看護のバイブルとも言える「キング看護理論」の本は、看護を「人間と人間の相互行為(インタラクション)のプロセスである」としています。言い換えれば「看護とは看護の目標を達成するために、互いに行動を起こすこと」です。
では、看護の目標とは何でしょうか。それは、健康を維持・回復することであり、自分がどうなりたいか(例えば、一人で歩けるようになりたい、自分で食事をしたいなど)という患者さんの願いを叶えることです。目標を決めるのは患者さん自身であり、医師でも看護師でもありません。
看護を学び始めた頃に「食べさせてあげる」「患者を立たせる」など、「~してあげる」「~させる」という言い方をする人がいますが、これは間違いです。立たせるのではなく「立てるように支援する」のです。そのための知識や技術を持っているのが看護師です。

一人ひとりに合った看護を

当たり前のことですが、患者さんには家(あるいは施設)に帰れば、それぞれの人生があります。家族や仕事、この先の人生があるのです。病院実習で、受け持ちの患者さんに何かをしてあげなければ……と考える学生もいますが、看護師が患者さんの家までついて行くわけではありません。患者さんが家に帰ってから困らないように、看護師は何をすればいいのか。ときには「自分でやってください」と突き放すことも必要でしょう。こういった判断力を養うには、看護学を学び、経験を積む必要があります。まずは「一人ひとりに合った看護」を考えることから看護師の第一歩が始まります。

※夢ナビ講義は各講師の見解にもとづく講義内容としてご理解ください。

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先生情報 / 大学情報

愛媛県立医療技術大学 保健科学部 看護学科 教授 野本 百合子 先生

愛媛県立医療技術大学 保健科学部 看護学科 教授 野本 百合子 先生

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メッセージ

私は理系から看護の世界へ進みましたが、この道を選んで本当に良かったと思っています。看護という職業を通して人の生死に関わり、「人間が生きるとはどういうことなのか」を考えられたからです。そしてそれは、自分がどのように生きたいかを考えるきっかけにもなりました。
看護職への道は厳しいですし、看護学の価値も学んでみなければわからないと思います。でも、私は看護学科への入学=「絶対に看護師になる……」とは考えなくてもいいと思っていますので、看護職に興味を感じている人は、ぜひ、看護学への門を叩いてみてください。

愛媛県立医療技術大学に関心を持ったあなたは

愛媛県立医療技術大学保健科学部は、看護学科と臨床検査学科の2学科で構成されています。4年間の大学生活を通して、人としての豊かさ、保健医療専門職としての倫理観、専門分野の知識・技術、自ら考え行動する実践力などを培うとともに、卒業後の活動においても、常に将来を見据え社会の変化や保健医療の進歩に的確に対応できる主体性や課題解決能力を身につけて欲しいと考え、教育目標やカリキュラムを編成しています。
人々の健康生活に関心のある方々、社会に貢献できる保健医療専門職を目指してぜひ本学の門をたたいてください。