不規則な生活を続けると病気になりやすくなる!?
24時間周期で活動する生物だけが生き残った?
生物には「体内時計」があります。これは24時間周期で変化する生理現象で、人間はもちろんバクテリアや植物にもあります。オジギソウという昼間葉を開いて夜葉を閉じる植物は、太陽の光のない暗い所に置いても同じ時間に葉の開閉を行います。このように、体内時計が環境の変化に関係なく働くことから、それは進化の初期の段階で獲得した機能だと考えることができます。生物が地球上に誕生したころは、今と違いオゾン層が少ない時代で、紫外線など有害なものが多く地上に降り注いでいました。そのような環境で細胞を増殖させるのは危険です。そのため、夜間に細胞分裂することで自分の身を守る生物が出現しました。この24時間周期で活動する生物だけが、進化の過程で生き残ったと考えられます。
時計遺伝子がないと、がんになりやすい?
ところで、この体内時計をつかさどるのは「時計遺伝子」です。この遺伝子がないと生物は24時間周期で活動できなくなります。例えば、ねずみの時計遺伝子をなくすと、昼夜に関係なく動き回ります。それだけでなく、がんや肥満、糖尿病になりやすくなります。また血管障がい、心筋梗塞、脳梗塞などが起き易くなります。
動物の細胞は、刺激を受けて細胞分裂を繰り返して増殖しますが、この仕組みに異常が生じるとがん化してしまいます。一方でがん化を防ぐ機能もあり、この機能と時計遺伝子は強いつながりがあります。体内時計を使って細胞の異常な増殖にブレーキをかけ、その間に免疫細胞などが働きがん化しかけた細胞を死滅させ、がんにならずに済んでいるのです。
規則正しい生活でがんの発病を防ぐ
人間の場合に怖いのは、睡眠覚醒を自分である程度コントロールできるため、不規則な生活を送って時計遺伝子の機能が弱まり、ひどい場合はなくなったりするのと同じ状態になることです。そのような状態が続くとがんになりやすくなります。決まった時間に就寝し、食事をとるのが健康によいと言われるのには、ちゃんとした理由があるのです。
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