肉・魚・野菜の焦げに注意! 焼き過ぎなどでできる発がん物質
焦がしすぎに注意
がんになる要因として多くのヒトがイメージするのは、「たばこ」ではないでしょうか。また、他にも私たちの身の回りには、工場から出る煙や車からの排気ガス、紫外線などのいろいろな発がん物質があり、特に食べ物を通して体に入ってくるものもあります。実は、たばこと食事の発がんのリスクはほぼ同じくらいであることが分かっています。特に、肉や魚を焼いた際の焦げには注意が必要です。肉や魚に付着した食中毒菌を死滅させるためには、よく焼くことが重要ですが、あまり焼き過ぎて焦がしてしまうと、発がん性を持つHEATOXs(ヒートックス)と呼ばれる物質が生成してしまいます。また、野菜やパンも焦がしてしまうと、同じようにHEATOXsが生成します。
食べ合わせに注意
食事による発がんのリスクにおいては、食べ合わせの影響についての研究も進んでいます。例えば、焼き魚とホウレンソウの汁物を同時に摂取すると胃の中で発がん物質ができやすくなることが分かっています。しかし、そこにレモンなどに含まれるビタミンCを一緒に摂取するとその生成を抑える効果があることがわかっています。また、お茶に含まれるカテキンにも同じように発がん物質の生成を下げる効果があります。しかし、薄いお茶だと逆に増やす場合もあるなど、私たちの身近な食生活に役立てられることが分かっています。
家庭での調理や食べ方に工夫を
一般家庭での調理方法は様々ですので、各家庭で焦げないように工夫する必要があります。その工夫をすることで、発がん物質の摂取量が低くなり、がんのリスクを下げることができます。また、野菜・果物・お茶などを同時に摂取することで、発がん物質の毒性を下げることもできます。さらに、唾液には、発がん性を下げる効果があるので、よく噛んで食べることも重要です。このように食品中にはいろいろな化学物質が存在しており、安全で安心な食事を楽しむには、「食品衛生学」は今後も重要な研究分野であり、研究で得られた成果を発信することが求められています。
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先生情報 / 大学情報
静岡県立大学 食品栄養科学部 食品生命科学科 教授 増田 修一 先生
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食品衛生学、食品安全学先生が目指すSDGs
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