安価なIoTで、生活に密着した困りごとを解決!

安価なIoTで、生活に密着した困りごとを解決!

情報通信技術で地域の課題解決

身近な地域の課題や生活の課題を情報通信技術で解決する「地域IoT」への取り組みが進められています。地域の課題解決には多くの場合、最先端の高価な技術は必要ありません。それよりも、当事者と連携して予算や工数、求める達成度などを把握して、最適な解決策を打ち出していくことが大切です。昨今ではさまざまな情報通信技術のサービスが無料で使えるので、そういったものも活用して生活の不安や不満を解消し、あるいは気づいていない不便にも改善策を提案していきます。例えば防犯では、振り込め詐欺の現場となりやすいコンビニで、動画による店員への教育と、防犯カメラの音声解析および画像解析から振り込みの瞬間を割り出して警告音を鳴らすことなどによって、水際での防止に成功しています。

黒大豆の生産高回復を

スマート農業も地域課題の解決法の一つです。黒大豆は兵庫県丹波篠山市や京都府北部の丹波地域の名産品ですが、近年、温暖化の影響で生産高が減少しています。黒大豆は通常の作物よりも水を多く必要とする植物ですが、生育時の水分が不十分でも葉の茂り方には変化が見られないため、秋に収穫するまで作柄の良し悪しがわかりません。そのため、正確な水やりのタイミングがわかるように、土壌の水分量の可視化が求められています。

一般的な方法が使えないなら

このような場合、一定規模の農場では、センサで測定した土壌の水分量のデータをクラウドにアップロードして、水不足と判断されたら自動で水を与えるといった方法を取るのが一般的です。ところが黒大豆が生産されているのは数ヘクタールの小さな畑で、IoTを使うのは容易ではありません。まず電力供給がなく、センサで測定したデータをクラウドにアップロードしようにも無線が届きません。そこで電源には簡易的な太陽電池を導入し、複数の中継器を使って電波を飛ばす「マルチホップ」無線を使うなど、狭い畑に最適なスマート農業のシステムが検証されています。

※夢ナビ講義は各講師の見解にもとづく講義内容としてご理解ください。

※夢ナビ講義の内容に関するお問い合わせには対応しておりません。

先生情報 / 大学情報

福知山公立大学 情報学部 情報学科 教授 井上 一成 先生

福知山公立大学情報学部 情報学科 教授井上 一成 先生

興味が湧いてきたら、この学問がオススメ!

情報ネットワーク工学

メッセージ

今は、Googleなどの大衆化された技術がたくさんあり、それらを組み合わせるだけでいろいろなものが作れてしまう、とても幸せな時代です。昔はまず部品を買いに行って、半田ごて片手にオシロスコープとにらめっこしながら目的のものを作っていました。もうそんなことをしなくても無料で利用できる技術がいくらでもあり、これはすごいことです。アイデアさえあれば、さまざまな価値あるものを生み出せるので、ぜひ興味を持ってチャレンジしてみてください。思っているほど難しくはありません。

福知山公立大学に関心を持ったあなたは

京都にある公立大学「福知山公立大学」は「持続可能な地域づくり」に挑みます。地域経営学部は、地域社会の事業体が地域社会のあらゆる資源を有効に企画・運営・管理することにより、地域社会づくりや創り直しに寄与し「持続可能な社会」の形成に貢献するための学修を行います。情報学部は、先端情報技術を地域の生活や産業のあらゆる分野に応用し、暮らしを豊かにして社会の安定に寄与する地域モデルを構築するための学修を行います。
両学部は、地域住民・団体と協働して学び、研究を深める「地域協働型教育研究」が学びの特徴です。