新しい体験と可能性の扉を開くバーチャルリアリティ
特別なメガネなしに見られる立体映像
バーチャルリアリティ(VR)は、五感すべてを使ってヒトとコンピュータとが自然に対話することを目的としています。ヒトの場合は、視覚が中心的な役割を果たすため、VRでも視覚情報の利用が早くから進み、実用化もされています。
現状ではゴーグルのような装置を用いてバーチャルな世界に没入する方法が主流ですが、特別な装置を身に着けずに立体的な映像が観察できるキューブ型やテーブル型の裸眼立体映像装置が開発されています。どんな方向からでも、何人でも同時に、そこにモノがあるかのように同じ立体映像を共有できる装置です。
CGの迷路に「触れる?」
コンピュータの中の情報が「触れるもの」として実体化させる技術も開発されています。この技術と映像技術とを組み合わせた「触れる迷路」が作られました。テーブル上のCGの迷路の壁に小さなプレートを持った指先を近づけると、壁のところで止まり、先に進めなくなります。高校で学ぶ「フレミングの左手の法則」で発生する力を応用した仕組みです。既知の現象も工夫して使うことにより、体験した人が「魔法のように感じる」装置を作ることができます。
VRは「総合格闘技」
VRはヒューマンコンピュータインタラクション(HCI)、すなわち、ヒトと機械とが自然に対話するための手段の一つです。例えば、テーブル上の立体映像は製品のモックアップ(模型)として検討会議などに使えます。物理的なモックアップに比べて製作が容易で、その場で色を変えたり、動かしたりできるというメリットがあります。映像に触れる技術はアートにも応用されており、我々の体験の幅を広げます。
HCIを良くするためには、ヒトが理解しやすく、コンピュータに伝えやすい情報の入出力方法や、そうした情報のやり取りを技術でどう解決できるかを研究する必要があります。その中でもVRの研究は、ヒトの五感の知見に基づきながら、機械のソフトウェアとハードウェア両面の技術開発も必要であり、「総合格闘技」と言われることもあります。
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先生情報 / 大学情報
京都橘大学 工学部 情報工学科 教授 吉田 俊介 先生
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