デジタル時代の「映像作り」は何が変わり、変わらないのか
デジタル時代の映像作り
デジタルカメラや映像編集ソフトといったデジタル技術の発展によって、映画やテレビ番組、テレビCMといった映像メディアの制作課程(=ワークフロー)は大きく変わりました。制作にかかる手間やコストが大幅に削減されて、さらにカメラや音響、合成技術の発展によってビジュアル的なクオリティが圧倒的に向上し、より監督のイメージに近い映像作品が作られるようになっています。また、現在では撮影から編集までをスマートフォン1台で完結できるようになり、YouTubeやTikTokといった一人で作り発信するパーソナルな映像メディアがにぎわっています。
共同で作りあげる
フィルムやビデオテープが使われていた時代の映像メディア作りは、撮影、編集、音響など多くの専門家による分業制によって制作が進められていました。企画の立ち上げやシナリオ・絵コンテ作り、撮影や演技指導、衣装やメイクなど、それぞれの専門性や役割を持つ人が関わり、共同作業によってクオリティを上げていくことの重要性は今も変わりません。また、立場や専門性の異なる人たちが議論や調整を重ねて、ときには妥協や衝突も経験しながら何かを作り上げるプロセスは、映像メディアに限らず、ものづくり全般に共通する面も少なくないのです。
映像メディアの進化とともに
一方で、デジタル技術の進化と普及によって、多くの人が映像作りや編集のプロセスが理解できるようになりました。これによりカメラマンや編集者といったそれぞれの専門家にしかわからない「ブラックボックス」が解消されて、互いのやりたいことを理解し合いながら共同作業ができるようになっています。
今後、パーソナルな映像メディアがさらに進化するのか、3D映像やVR、あるいは別の映像表現が登場するのか、常に映像メディアは変化を続けることが予想されます。その変化が新しい技術を生み、その技術を取り入れながら、映像作りのワークフローも変わり続けていくでしょう。それでもひとの心を動かすという映像の本質は変わらないはずです。
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先生情報 / 大学情報
駿河台大学 メディア情報学部 メディア情報学科 教授 斎賀 和彦 先生
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先生への質問
- 先輩たちはどんな仕事に携わっているの?