人に優しいものづくり
人間工学って?
近頃、「人間工学に基づいて設計された商品です」というフレーズをよく耳にします。人間工学とは、人に優しい技術、使いやすい機器、生活しやすい環境をつくるために生まれた学問です。「ヒューマンファクターズ」「エルゴノミクス」とも呼ばれますが、人間の身体の特徴や内面的な心理をしっかり把握したうえで、道具や機械、環境などを、人間にうまく適合するように考慮するという考え方です。
人間工学という分野が日本で活発に研究されるようになったのはごく最近です。それまでは、ものや機械に人間が合わせ、使いこなすというのが当たり前でしたが、人間工学の研究が始まってからは、人に優しく、より快適なものづくりやデザインが行われるようになりました。
誰もが使うパソコンに
身近な例としてパソコンを取りあげてみましょう。例えば、1990年代半ばまではコンピュータの端末はとても高価で、特定の人しか操作しない時代でした。現在パソコンは1人1台以上の時代になり、老若男女、多くのユーザーが使いやすいように、本体もソフトウエアも進化してきました。また、インターネットも、誰もがスムーズにネットサーフィンを楽しむことができるよう、さまざまな工夫が施されています。そのほか、最近ではパソコン操作時に人体にかかる負担を軽減する机や椅子などの家具、マウスやパソコン周辺機器に人間工学を応用した商品も一般化してきています。
社会が必要とする人間工学
そのほか、操作性に配慮した携帯電話、寝心地の良いベッド、握りやすいボールペンなどの日常生活の中のもののほか、仕事場や住まいといった環境、乗用車、公共施設、町づくりの検討なども、人間工学の視点から行われています。
人間工学という言葉からは、「使いやすい」とか「快適である」というような、製品に対して用いられる言葉がイメージされますが、実際はもっと広い範囲で、社会のさまざまなところと関連している学問分野と言えるのです。
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先生情報 / 大学情報
東京都立大学 システムデザイン学部 情報科学科 教授 西内 信之 先生
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