水が私たちに教えてくれること
水文学って何?
水は、大気中に蓄えられた水蒸気が雨や雪となり、川や地下水から海へと流れ、再び蒸発して大気中に戻るというサイクルを繰り返しています。このサイクルを「水の循環」と言い、私たちはその過程を通じて水を得ています。この水の循環がどれくらいの規模で行われたのかを具体的に数値で把握し、「水の収支(ある地域にもたらされた水となくなった水の差)」も含めて総合的に考えるのが「水文学(すいもんがく)」と呼ばれる学問です。
雨や雪は、まったく降らなければ当然困りますが、降りすぎても困ります。水がないと生きていけない私たちにとって、水の循環・収支を詳しく調べることは、水資源とのつき合い方を考えるうえでとても大切なのです。
水の循環から未来を考える
降水量は気温と大きく関係しています。気温が上がると大気中に蓄えられる水の量は増えるので、今後は地球温暖化にともなって地球全体の降水量は増えていくと予想されています。
増えた降水量がどのように地域に分配されるか、また季節の影響をどのように受けるのかは、まだよくわかっていません。降水量の増減は水害の原因となったり、農作物の収穫に影響を与えたりと私たちの生活に大きく関わってきます。水の循環と収支は、現在の生活だけでなく将来の環境の変化に適切に対応していくためにも、欠かせない情報なのです。
意外と身近な地球温暖化
地球温暖化と言われても、規模が大きすぎて普段はあまり身近に感じることができないかもしれませんが、意外と身近にその影響が表れています。それは、「地下水」です。
雨や雪によって蓄えられた地下水は湧水となって地表に出てきます。東京は都市化が進んでいるので、水温上昇の原因を地球温暖化だけに限定することはできませんが、東京にあるいくつかの湧水の温度は過去と比べると上昇しています。このように、水は私たちの生命維持に必要なだけでなく、私たちを取り巻く環境がどのように変化しているのかを教えてくれる指針でもあるのです。
参考資料
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先生情報 / 大学情報
東京都立大学 都市環境学部 地理環境学科 教授 松山 洋 先生
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