人間を補助するロボットを開発するメカトロニクス技術

人間を補助するロボットを開発するメカトロニクス技術

「メカトロニクス」はどうして生まれたか

ロボット工学の分野では、メカニクス(機械工学)とエレクトロニクス(電子工学)を合わせた、「メカトロニクス」という言葉がよく使われています。もともとは、ロボットなどの複雑な機械を開発する上で、従来の機械技術だけでなく、電子回路技術、センサ技術、情報技術などを取りこみ、融合して進化してきたのがメカトロニクスです。ですからメカトロニクスは、単純にメカニクス+エレクトロニクスだけではなく、マイクロコンピュータ、インフォメーションテクノロジ、ネットワークなど、さまざまな要素を取り入れた学問分野であり、今やロボットだけでなく、家電製品を含むほとんどの機械システムは、メカトロニクスシステムだと言えます。

人間もひとつのシステム

ロボットを開発する上で考えなければならないことは、その「システム」です。システムというのは、何かを入力することで機能し、何かを出力する仕組みのことですから、人間も一種のシステムとして成立しているわけです。人間がものを食べ、外界の情報を見て考え、行動を起こすように、ロボットはエネルギーを得て、外界の情報をセンサで感知し、コンピュータが判断して、一定の作業をします。こうしたシステムを構成する要素と全体のつながりを考えていくのが、メカトロニクスの課題のひとつです。

人間の生活を補助するヒューマンアシストロボット

現在、車いすや盲導犬の代わりになり、人間の生活を補助してくれる「ヒューマンアシストロボット」が次々と開発されつつあります。特にロボットが人間とともに行動する場合に大事なのは、「平地や段差を走行する機能」「カメラやセンサによって外界を正確に認識する機能」「外界の情報を人間に伝達する機能」などの技術です。例とえば、走行機能には歯車やリンクから構成される運動機構、それらを動かすためのモータやセンサや制御技術が、外界認識機能には3次元計測技術や物体認識技術など、最先端のさまざまな技術が活用されているのです。

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先生情報 / 大学情報

電気通信大学 情報理工学域 II類(融合系) 先端ロボティクスプログラム 教授 金森 哉吏 先生

電気通信大学 情報理工学域 II類(融合系) 先端ロボティクスプログラム 教授 金森 哉吏 先生

興味が湧いてきたら、この学問がオススメ!

知能機械工学

メッセージ

ロボット要素工学というのは知能機械工学の一分野で、あなたの身の回りのほとんどの装置を構成する要素について研究開発する学問です。芸術もそうですが、何もないところからものを作ること(設計)ができるのは、実はヒトだけです。商品を作るにしても、サービスを作るにしても、みんなに喜んでもらう、みんなを幸せにするということを考えて、自分の進路を見つけていくとよいと思います。ゼロから新しいものを「生む」ことが最初の一歩で、それをさらに「育てていく」こと、言い換えると「0→1」、「1→∞(無限大)」が大切です。

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電気通信大学は、東京にある理工系国立大学で、「工学」と「理学」のうち、特に情報分野および理工分野を核とした教育研究を行っています。先端科学技術を支える全分野、例えば、情報、通信、電子、知能機械、ロボティクス、光科学、物理、量子、化学、物質、生命などの分野を網羅しています。社会で活躍する人材の育成をめざし、ものづくりに意欲を燃やす学生の期待に応える教育環境を提供します。