人工知能が解き明かす、人間の知能の本質

人工知能が解き明かす、人間の知能の本質

知能とは何かを探る

人工知能(AI)の研究は、一見すると技術的な応用だけをめざしているように思えるかもしれません。しかし、「人間の知能とは何か」の探究も重要な目的です。特に、AIがどのようにして判断を下し、学習を進めるのかを理解することは、知能の本質に迫るテーマです。この研究を進めるためには、理系分野だけではなく、心理学、言語学、哲学といった文系分野の知見も欠かせません。ロボットを作ることも含めれば、運動学なども必要となる、学際的な研究分野です。

AIと人間の知能の違い

AIが人間のように思考しているように見えても、実際には大きな違いがあります。例えば将棋のAIは、膨大な手を予測して最善の一手を指しますが、藤井聡太さんのように直感的な判断を行うわけではありません。また、生成AIは非常に自然な文章を生成できますが、時折、人間ではあり得ないような論理的な誤りを含んだ文章を作ってしまいます。さらに、創作力にも人間と開きがあります。手塚治虫のスタイルを模倣するAIを開発する試みを通じて、現状のAIの限界が明らかにされました。
これらの違いはAIと人間の知能の本質を探究する上で非常に興味深い点であり、さらなる研究が期待されています。

AI技術の応用とその未来

もちろん、AIの技術的な応用も重要です。既にAIは日常生活のさまざまなところで利用され、私たちの社会に大きな影響を与えています。今後は、スポーツや観光分野へも広がるでしょう。スポーツでは、AIを使って選手のパフォーマンスを向上させる試みが行われており、AIが戦術をサポートしている競技もあります。例えばサッカーのAIは、選手たちの動きを解析して、次にどのようなプレーをするべきかを瞬時に判断します。観光分野では、観光客の移動パターンを分析して混雑を避ける時間帯やルートを提案することで、観光地の混雑緩和に貢献することが期待されます。AIは今後さらに幅広い分野で活躍し、私たちの生活を便利で豊かなものにしていくはずです。

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先生情報 / 大学情報

京都橘大学 工学部 情報工学科 教授 松原 仁 先生

京都橘大学 工学部 情報工学科 教授 松原 仁 先生

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知能情報学、知能ロボティクス

メッセージ

これからの社会では、AIとの共存が避けられません。大抵のことはAIがやってくれるので、人間だからできることが大切になり、一人一人の独自性がより重要になります。そのため高校生のあなたには、幅広い分野の本を読み、自分なりの考えを持つ習慣を身につけてほしいです。単に情報を受け取るだけでなく、その内容について深く考え、自分の意見を形成する力を養ってください。これがAIと差別化できる、人間ならではの強みとなり、将来のあなたの存在価値を高めることにつながるでしょう。

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京都橘大学は、「自立」「共生」、実践的な教育をめざす「臨床の知」を教学理念に掲げる総合大学です。
2021年4月には、国際・人文・教育・社会・医療系に工学系の学びを加え、さらに2023年4月には総合心理学部を開設し、9学部15学科の文理多彩な総合大学へ進化しました。一拠点総合大学の強みをさらに発展させ、さまざまな夢をもつ多くの仲間と出会い、新時代に対応できる力を養います。
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