E.T.の世界が現実に、無線通信の未来予想図
電流が先か、磁場が先か
無線通信技術の基本は「電磁気現象」です。電磁気現象については高校の物理でも習いますが、携帯電話をはじめとしたさまざまな無線通信機器の基本的な技術は意外と単純で、電磁石の原理を応用したものなのです。
電磁石は、導線に電気を流すことによって磁場が発生します。電流を流すことによって磁場が発生するのであれば、逆に、「磁場が発生していれば電流が流れることだってあるのではないか」と考えられるのです。
電気が情報を伝達する電気通信
磁石というものは、お互いにひきつけ合い、くっついたりします。これは永久磁石であっても電磁石であっても同じです。直接つながっていなくてもエネルギーや力を伝えることができます。そして電気には信号を伝えるという機能があり、電磁石のパワーを上げれば、距離が離れていても情報を伝えることができます。つまり、日本の宇宙技術の凄さを見せつけた小惑星探査機「はやぶさ」のような、火星よりも遠いところを飛んでいる宇宙機をコントロールすることだってできるのです。
人間の身体を導体とする人体通信
線がないということは、わずらわしくなく非常に便利です。それでは今後、無線技術はどこまで発達するのでしょうか? いま盛んに行われているその研究のひとつに「人体通信」と呼ばれるものがあります。これは、通信相手に指で触れることにより情報を伝えるという、人間の身体を導体とする通信です。例えば、「おサイフケータイ」をポケットの中に入れておいたままでも、自動販売機に指をタッチするだけで、人間の身体を介しておサイフケータイと自動販売機の通信が行われて課金されるようなシステムです。
映画『E.T.』の中で少年とE.T.が指と指を合わせて会話をする感動的なシーンがありますが、数年後には私たちも指と指を合わせるだけで、メールアドレスの交換などが簡単にできるようになるかもしれません。
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先生情報 / 大学情報
東京都市大学 理工学部 電気電子通信工学科 教授 岡野 好伸 先生
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