皆さんが裁判官になる!?
日本の裁判員制度とは
これまで裁判所は、私たちにとって縁遠い存在だったのではないでしょうか。何が行われているかよくわからないというのが実情だったと思います。そもそも、司法制度は、国民の信頼・理解に支えられなければ成り立ちません。そこで、司法制度改革の目玉の1つとして、平成21年5月に国民が裁判員として裁判に参加する「裁判員制度」が導入されました。
国民が裁判に参加すると言うと、アメリカやイギリスの「陪審員制度」を思い浮かべる人も多いでしょう。フランスやドイツには「参審員制度」もあります。これらの国と日本では、国民が裁判に関与する形態が異なります。日本の裁判員制度は、1.何が起こったのか(事実認定)、2.いかなる刑罰を科すのか(量刑)の双方を国民が裁判官と一緒になって判断するのが特徴です。
選ばれるのは、どんな人?
裁判員が扱う事件は地方裁判所で行われる一定の刑事事件です。重大事件という認識でよいでしょう。裁判員に選ばれるのは20歳以上の成人です。70歳以上の人は辞退できますが、意欲的な人々も少なく、国民全体で制度を支えています。
裁判員は、都道府県ごとに衆議院選挙名簿にもとづく候補者名簿の中から選ばれます。事件ごとに70~130人の候補者が無作為に選出され、裁判官との面談などの諸手続を経て、午後からはじまる裁判を担当する者として、最終的に6名の裁判員(+補充裁判員数名)が法廷に臨みます。
裁判員制度の今後
事件に関心を持ち、裁判員の経験を通じて司法制度を理解することは大切です。しかし一方で、死刑などの量刑に関わった裁判員の心理面のケアや、守秘義務の範囲の明確化など、制度の課題も見えてきました。裁判員は報道などのイメージに左右されて事実認定や量刑を行うのではなく、証拠に基づいて判断することが求められます。今後はその土台づくりとして、学校教育の現場で、未来の裁判員である子どもたちに制度内容や期待される役割などを伝えることが重要になるでしょう。
参考資料
※夢ナビ講義は各講師の見解にもとづく講義内容としてご理解ください。
※夢ナビ講義の内容に関するお問い合わせには対応しておりません。