日本の犯罪捜査はどう行われている?
DNA鑑定は捜査の救世主か
無実の人を有罪とする「冤罪」はあってはなりません。原因の1つに、「やっていないのに、やったと供述してしまう」誤った自白の獲得があげられています。そこで、自白に頼らず、客観的に真実を究明する科学的捜査に注目が集まっています。DNA鑑定はその1例です。DNA鑑定は、約4兆7000億人から1人を特定できるとされ、犯人の特定に期待が集まっています。しかし、絶対的なものと過信してはいけません。近時の冤罪事件では、DNA鑑定が決め手となって有罪としながら、後に、誤りが判明して無罪となった事例もあるのです。その意味では、DNA鑑定は、ほかの捜査手法とあいまって真実の究明に役立つツールの1つにすぎないと考えておくべきでしょう。
日本にはFBIのような組織はないのか
日本の警察は都道府県単位で決められた管轄で捜査にあたることが基本です。アメリカのFBI(連邦捜査局)のように、州をまたいで活動できる組織がないため、捜査に一定の限界が出てきてしまいます。現代社会は、交通網が発達しており、事件が複数の都道府県や国外にまで及ぶこともあるため、管轄を超えてスムーズに捜査する必要性は否定できません。また、コンピュータ犯罪など高度な専門性も警察に要求される時代です。こうした事情から、近い将来、日本型FBIが誕生するかもしれません。
おとり捜査ってあるの?
映画やテレビドラマなどで、しばしば「おとり捜査」が描かれています。これは捜査機関やその依頼を受けた協力者が対象者に働きかけ、犯罪が実行されたときに検挙する手法です。おとり捜査は、薬物犯罪など検挙が容易でない犯罪に有効であるとされています。もっとも、人に犯罪を働き掛けるわけですから、1つ間違えば国が犯罪者をつくりあげることになりかねません。そこで、アメリカでは、働き掛けが罠と評価された場合、被告人は無罪になります。日本では、適法・違法の判断基準は必ずしも明らかではありませんが、おとり捜査を実施する以上は、明確な指針がほしいところです。
参考資料
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