制御なくして機械なし! 制御工学はなくてはならないテクノロジー
炊飯器の中のご飯の味が均一なわけ
制御工学とは、機械を思い通りに動かすための仕組みをデザインする学問です。船舶、飛行機、自動車からロボット、産業機械に至るまで、あらゆる機械に制御工学の技術が取り込まれています。
「制御なくして機械なし」と言ってもいいくらい、制御というものは重要な役割を果たしていて、私たちの身近にある電気製品にも備えられています。例えば電気炊飯器ですが、中のご飯のどこを食べても同じ味がするのは、圧力加熱を制御して、炊きムラをなくしているからなのです。
タイタニック号に自動制御装置があったら……
制御理論は18世紀のスコットランドの発明家ワットの時代にまでさかのぼり、蒸気機関の速度制御に使われた遠心調速機がはじまりだと言われています。それからグッと時代が進み、現在につながる制御法や装置が誕生したのが1940年代で、コントローラーとして製品化されたのは1950年代です。
1912年に発生したタイタニック号の沈没事故も、もし衝突を自動回避する制御システムがあれば防げたのかもしれません。当時はコンピュータのない時代ですから、いまほどきちんとした制御理論が確立していませんでした。大きなものを精密に動かすだけの制御工学が未熟だったのです。
ロボットに免疫性を持たせる
制御工学の究極のテーマはロボットに免疫性を持たせることです。人間には風邪をひくと、免疫システムという病気を治す仕組みがあります。それをロボットに持たせようということです。
あるセンサーが壊れたら、それを制御しながら自分で異常を見つけ、修復しようという内容で、簡単に言うと、コンピュータの中に壊れた部品の代替をもう1つつくるのです。専門用語で「ロバスト設計」と言うのですが、従来は機械の性能を向上させて制御しようと考えたものばかりでした。これに対して免疫という違うアプローチで機械の安定した動作を実現するのです。実用化のめどが立てば幅広い応用が考えられ、制御方法を大きく変えることになるでしょう。
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先生情報 / 大学情報
工学院大学 工学部 機械システム工学科 教授 濱根 洋人 先生
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