スーパーマーケットに見る流通の歴史

スーパーマーケットに見る流通の歴史

スーパーマーケットは技術革新から生まれた

いまや日本の誰もが親しんでいる町のスーパーマーケット、その源流は約100年前のイノベーション(技術革新)にあります。レジスターという機械の開発、お客が自分で商品をレジに持っていくセルフサービスというシステム、それらのイノベーションの組み合わせによって、スーパーマーケットという新しい流通の形が生まれました。

日本とアメリカの流通の違い

アメリカなどで発展したスーパーマーケットは、日本では1950年代に導入されますが、アメリカと日本とでは文化的背景が大きく違っています。アメリカのスーパーマーケットでは、とにかく大量の商品を扱っていますが、商品のアイテム数はそれほど多くありません。日本のスーパーマーケットは、細かく分かれたニーズに対応するためアイテム数が非常に多く、また生鮮食品が多数含まれているというのが、アメリカのスーパーマーケットにはない特徴です。
その昔江戸の町では、町人たちはみんな4畳半くらいの狭い部屋に一家で住んでおり、物を置くスペースが限られていたため、食料を貯蔵するという考え方がありませんでした。当時の日々必要なぶんだけを買うという当用買いの習慣が現在の日本でも続いており、1週間に一度食料をどっさり買い込み、自動車に積め込むようなアメリカ型とは、物流に対する発想が根本的に違っているのです。だからこそ日本のスーパーマーケットは、日本独自の発展を遂げていきました。

法規制を乗り越えて発展を続ける

そして1970年代には、コンビニエンスストアが日本に上陸しました。当時日本には「大店法」という法律があり、大規模小売店舗では、営業時間や営業日数などが大きく制限されていました。コンビニエンスストアは全国に店舗を持つ巨大チェーンでありながら、あくまで小規模店舗として展開したために、24時間営業が可能となったのです。アメリカなどからコンセプトを取り入れつつも、日本の文化や法規制に応じ、日本は独自の流通を発展させてきたというわけです。

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駒澤大学 経営学部 市場戦略学科 教授 青木 茂樹 先生

駒澤大学 経営学部 市場戦略学科 教授 青木 茂樹 先生

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経営学

メッセージ

私の好きな言葉に「随所作主」というものがあります。「どこにいても主であれ」、つまり与えられた場所で一生懸命がんばる、という意味です。どんな環境でも、自分にできることがあり、それをなすことで人間は自立するのだと思います。日本の流通業界も、さまざまな法規制や制度、競争を乗り越えて発展してきました。あきらめて言い訳をするより、自分で考えて行動をすべきです。ネガティブに沈むのか、ポジティブに生きるのか、あなたの未来はあなたの心持ち次第なのです。

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駒澤大学は、2022年で開校140周年を迎えました。その豊かな伝統を守りながら、時代の状況に即した改革を行い、7学部17学科を擁する総合大学となりました。本学の特徴は、緑ゆたかで広大な駒沢オリンピック公園に隣接する閑静な環境にあり、全学部の学生が4年間を、ひとつのキャンパスで学習していることです。そのため、学部の垣根を越えて、充実した教育システムが用意されています。そして、近年の就職不況のなかにあっても、毎年高い就職率を誇っています。