店のファンは何を買う? スーパーマーケットのレジを分析

店のファンは何を買う? スーパーマーケットのレジを分析

レジの情報をどう活用する?

スーパーマーケットなどのレジでは「ID-POS」という仕組みが導入されており、そこに売上に関する情報が蓄積されています。何が何個売れたかだけでなく、会員カードやポイントカードなどを利用している客の情報を個別に収集することも可能です。しかし膨大なデータを活用するための高度な解析は、スーパーマーケットではあまり進んでいません。そこで、売上アップや経営のヒントとなる情報を探れないか、データマイニングの研究が行われています。

店のファンの特徴を探る

研究では、「どの客が何を買ったのか」という情報と、「どの商品がいくつ売れたのか」という情報を組み合わせた解析が行われています。それにより「継続的に店を利用する客はこの商品を買う傾向がある」などの情報がわかります。実際にプライベートブランドのレトルトカレーが評判の店のID-POSが分析された結果、「特徴的なカレーを買う人は継続的に店舗を利用する傾向がある」とわかりました。あるカレーを買いに来る客はその後も同じ店を利用する人が多く、店舗の固定的なファンになっていたのです。このように珍しい商品や、独自の商品を販売しているスーパーには、好んでその店を使う客が集まりやすいといえます。一方で、日用品や文房具だけを買っていく客はその後あまり訪れておらず、継続的に通う傾向が低くなっていました。

感覚を数字で証明

こうした売上の傾向は、店舗で働く従業員は感覚でわかっているでしょう。しかしデータマイニングで分析をすると、その傾向を数値で客観的に証明できます。特定の買い方をする人は、「どの程度の確率で継続的な客になってくれるのか」などを数字で示せるため、経営戦略や販売予測を立てる上で役立つと考えられます。
また、ID-POSのほかにもSNSや掲示板などに載っているテキストデータも解析が試みられています。口コミの内容や客の感情などもデータマイニングで扱えるようになれば、さらに経営に役立つ情報を引き出せるかもしれません。

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先生情報 / 大学情報

大東文化大学 経営学部 経営学科 教授 白井 康之 先生

大東文化大学 経営学部 経営学科 教授 白井 康之 先生

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知能情報学、データマイニング、機械学習

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メッセージ

データマイニングでは、数学やプログラミング、統計学などの知識も必要ですが、身近な物事に対して、「どうしてこうなっているのだろう」や、「こうするともっとよくなるのでは」と考える力もとりわけ重要です。高校で習う勉強に励むのはもちろんですが、日常の中で当たり前だと思っていることを疑う、もっとみんなが幸せになれる方法を考える、という視点も持ってほしいです。データマイニングは興味があることならなんでも分析対象にできる分野なので、私と一緒に学んでみませんか。

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大東文化大学は、文、外国語、経済、経営、法、国際関係、スポーツ・健康科学、社会学の8学部20学科を擁する総合大学です。進路に合わせて自由に選べる科目の多さと、他学科の科目も選択できるカリキュラムも特徴のひとつ。1923年に当時の国会決議によって設立された本学の建学精神は「東西文化の融合」。この精神は今も息づいており、毎年約400名の学生が海外に留学し、海外からは600名の留学生が学ぶ国際色豊かな大学です。また伝統的に公務員・教員への就職に強く、全国各地で卒業生が活躍しています。