スポーツは誰のもの? ~スポーツイベントをみんなで楽しむ方法~
スポーツイベントにおけるスポンサー
オリンピックやサッカーのワールドカップといった世界的なスポーツイベントには「スポンサーシップ」が採用されています。大会に必要な資金や物資を公式スポンサーが提供する見返りとして、イベントの開催やロゴの使用を含む広告活動を独占的に認める方式です。
一方、スポンサーではない企業や団体の広告活動は厳しく制限されています。例えば、大学が行った出場選手の壮行会が「宣伝活動に当たる」とされたり、また2020年の東京オリンピック・パラリンピックでは、観客が競技会場で撮影した写真を個人のSNSに掲載することも禁じられると言われています。
「アンブッシュマーケティング」とは
このようにスポンサーシップには、一部の企業やメディア、関係者だけがイベントに関わり、それ以外は制限されるという側面がありますが、その隙をつくような広告手法が「アンブッシュ(待ち伏せ)マーケティング」です。大会を直接応援したり、ロゴや競技映像を使ったりできない企業や団体が、間接的な手法で広告活動を行うことを意味します。
日韓共同開催となった2002年のサッカーワールドカップでは、スポンサーではない韓国の携帯電話会社が「サポーターを応援する」広告活動を展開した結果、その「応援イベント」に多くの人が参加し、社会現象となりました。
より多くの人が楽しむために
スポンサーシップの観点からは「グレー」とも言えるアンブッシュマーケティングですが、代表チームが勝つたび街角や広場に人々が集まり一緒に喜んだり、公式スポンサーではない商業施設の「祝賀セール」で地域がにぎわったり、より多くの人が、それぞれ独自の楽しみ方でイベントに参加するための手法ととらえることもできます。2020年の東京オリンピック・パラリンピックではどのような広告手法や楽しみ方が登場するのか、単なる商業活動としてではなく、そもそも「スポーツイベントは誰のものか」という観点からも注目していくべきでしょう。
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先生情報 / 大学情報
宮崎公立大学 人文学部 国際文化学科 メディア・コミュニケーション専攻 准教授 森津 千尋 先生
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