人はなぜ物を買いたくなるのか~好き嫌いと損得で動く消費者心理~
消費者心理学の手法で衝動買いを誘発
スーパーやテレビの通販番組では、消費者心理学に基づいて陳列や商品紹介をしています。例えば、人間には3つ並んでいれば、真ん中を選びたがるという傾向があり、これを利用した値付けや陳列が行われています。真ん中にあるものには重要なものが多いという、過去の経験則が背景にあると言われていますが、こうした心理を利用して、巧みに商品を売ろうとしているのです。ほかにも「今から30分だけ」「今日限りの特別価格」といった文言がよく使われますが、こうしたことも消費者心理を刺激して買わせる手法です。
商売以外にも消費者心理学は応用できる
消費者心理学を学ぶことは、売り手には不可欠と言えます。一方で消費者としては、不要なものを買ってしまったり、衝動的に高い価格で買ったりしては後悔してしまいますから、こうしたことを防ぐために、消費者も学ぶべき学問です。
消費者心理学は、売買だけでなく、恋愛や交渉などにも使えます。最初に小さい要求に「はい」と言わせることができれば、次も「はい」と言わせやすい「foot in the door」、過大な要求を最初に提案し断らせておくと、次は断りにくいという「door in the face」などもそのひとつです。
まだまだ未解明な部分が多い消費者心理
消費者心理には、解明されていない部分がまだたくさんあります。例えば、人気タレントに自社商品を持たせて広告を打つのはよくある手法で、さまざまなCMに使われています。広告を何度も見せることで好感度が上がるということはわかっているので繰り返し流すのですが、一方で、流せば流すほどタレントばかりが目立って、商品は注目されなくなるのではないか、という分析もあります。
研究者たちは、広告を見せて消費者がどこを見ているかを調査するなど、認知心理学的な手法を使ったり、たくさんの人にアンケートを取り、統計的に分析する社会心理学的な手法を使ったりしながら、解明しようとしています。
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先生情報 / 大学情報
立正大学 心理学部 対人・社会心理学科 教授 八木 善彦 先生
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