スポーツを科学の視点からサポート

スポーツを科学の視点からサポート

トレーニングにも裏付けと根拠を

スポーツの練習で「ダッシュ」というと、1日20本や10分間などというように、決められた回数や時間をひたすらこなすというイメージがあります。ところが最近は、本人が全力で走れなくなった時点で、その練習をやめるというのが一般的になりつつあります。これは、決まりどおり走ろうとすると、どうしても力をセーブしてしまうため、その状態でいくらトレーニングをしても力が身につかないことがわかってきたからです。このような科学的な根拠や裏付けを備えた指導が、これからのスポーツには必要だと考えられています。

「スポーツバイオメカニクス」という視点

「スポーツバイオメカニクス」とは、運動しているときの体の動き・動作の仕組みなどを、物理や力学といった科学の基礎知識を用いながら解明していこうというものです。研究では実際の動きをビデオに撮り、映像ソフトを用いて動きを比較したり、解析用プログラムを使って力学的なデータを得たりします。こういった視点を取り入れることで、個々の能力の違いや運動時の故障などにはすべて根拠や原因があることがわかると同時に、それに対する課題や解決法なども見えてくるのです。また近年は、指導者にはスポーツを教え導く「指導」ではなく、選手と同じ目線で「サポート(支援)」していくことが大切だと考えられています。

納得することで力が発揮できる

野球の外野手がボールを捕ってから返球するまでの速度や動作を映像で比較したところ、速度の速い・遅いの違いの原因のひとつは足の使い方にありました。速い選手は軸足を前に出してボールを捕っていたので、そのままスムーズに投球動作に移ることができたのです。選手は実際にこれを映像で見て、その理由を頭でも理解します。すると自分の課題が明確になり、トレーニングにも目的意識をもって取り組むことができます。自分がやっていることをきちんと納得することで、選手の力をより引き出すことにもつながっていくのです。

※夢ナビ講義は各講師の見解にもとづく講義内容としてご理解ください。

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先生情報 / 大学情報

大阪大谷大学 人間社会学部 スポーツ健康学科 教授 児玉 公正 先生

大阪大谷大学 人間社会学部 スポーツ健康学科 教授 児玉 公正 先生

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スポーツ生理学

メッセージ

私は高校・大学は野球一筋で過ごしてきました。スポーツを科学的に見るという考え方に衝撃を受け、大学在学中から、中学レベルの数学などの勉強をやり直しました。野球にかけていたエネルギーを、今度は勉強に使おうと思ったのです。何かを始めるのに早い・遅いはなく、勉強したいと思ったときがあなたのスタートのタイミングだと思います。スポーツの上手・下手は関係ありません。興味があることにエネルギーを費やし、壁に当たっても逃げずに乗り越えられるような人材を育てていきたいと思っています。

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